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アジュンマの話し XXXV
アタシに・・・・・
文字を教えてくれたのは
陸軍士官学校をでたばかりの将校さんで
まだ若いんだけれど軍隊の中では偉い人らしくて
だけど全然偉ぶるところもなくアタシらにも優しくて
それに役者みたいに凄くきれいな顔をしてて
立ち姿もうっとりするくらいに素敵な
そんな将校さんだったんだよ・・・。
その将校さんは・・・・・
少し変わってて アタシの所に来ても
いつも何もしないでただそれこそいつも時間がくるまで
黙って本を読んでいるような人だったんだけれど
ある時アタシが文字を読めないことを知ると
来るたんびにひらがなとカタカナを
教えてくれるようになって・・・。
あの将校さんも・・・・・
たぶんあの戦争で死んじゃったんだろうねって呟いた
アジュンマの瞳が潤んでいた・・・。