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アジュンマの話し XXXIV
新しいお品書きを・・・・・
アジュンマが筆ペンで上手に書いているのを
箸休めのカクテキを口に運びながら
なにげに眺めていたら・・・。
アタシは・・・・・
15になるまで朝鮮で育ったのに
なのにハングル文字が書けないんだよ・・・
おかしな話しだろう でもさぁほんとなんだよ
学校へ行ってないから 誰からも教わってないから・・・
でもね 日本の兵隊さんに教えてもらったから
ひらがなとカタカナは全部書けるんだよと
アジュンマは自慢げに笑った・・・。
そういえば・・・・・
今までなんとも思わなかったけれど
この店の客は僕の他はそれこそみんな
アジュンマの同郷の者たちばかりなのに
壁のお品書きが全部カタカナだということに
その時はじめて僕は気づいた・・・。