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生かされたこの命は最期まで
「なんで・・・・・
なんで自分は生き残ってしまったんだろうって
戦場で死ねなかったことを深く恥じて生きていました・・・。」
「大勢の仲間が戦場で死ぬのをこの眼で見ました・・・・・
即死した者もいました でもその殆どが直ぐには死ねなくて
銃弾で腹に穴が空いても砲撃で両足を吹き飛ばされても
それでも直ぐには死ねなくて酷く苦しみ藻掻きながら・・・
そんな大勢の仲間たちの死に様を見続けながらも
それでも共に死ななかった死ねなかった私は
ずっと死んで逝った仲間たちに対して
自分だけが生き残っていることへの
罪の意識に囚われていました
すまない すまないと・・・。」
「でも やっとこの歳になって・・・・・
今の私は死んで逝った仲間たちの命で生かされいる
だからこの生かされた命は最期まで粗末には出来ない
やっとこの歳になってそう思えるように成りました・・・。」
そう言ってその方は笑った。