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あたしの息子たちは全員
「当時この国では・・・・・
二十歳になった成人の男子には全員徴兵検査があって
その検査に合格した者は各連隊に入営するのが
義務づけられていたんだけれど・・・。」
「でもね・・・・・
家族から二人以上が同時に入営することは
建前上は延期なんだけれど実際には入営が免除されていてね
うちでは既に次男が自分から志願して在営していたから
もうどの子も兵隊に取られることはないって
そう思っていたんだけれど・・・。」
「ある日突然・・・・・
役所の人が三男に赤紙を届けにきて
それから半年もしないうちにまだ学生だった四男に
そしてまさかそんなことがある訳ないって思っていた
家の跡取り息子の長男にまで終戦の年に赤紙が・・・。」
そこまで話すとその人は顔を伏せてしまい
その後息子さんたちがどうなったのかを
何も語ろうとはしなかった。