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アジュンマの話し XXXII
誰も望まない・・・・・
妊娠をしたことがわかると
慰安婦は軍属に準じた扱いだったから
軍医が堕胎をするんだけれど・・・。
軍医とは名ばかりで・・・・・
まだ医学部を卒業もしていないのに
招集されていきなり軍医になったもんだから
だから 医学書を読んで頭では知ってはいても
実際に手術なんか一度もしたことの無い
そんな軍医もいてさ・・・。
堕胎の処置をするのに・・・・・
金属製の長い棒を膣の中に闇雲に突っ込んで
そしてその棒で膣の中を掻きまわして胎児を掻きだす
そんな無茶苦茶なことをする名ばかり軍医もいてさ
だから堕胎の処置のその後に出血が止まらなくて
それこそ亡くなった慰安婦が何人もいたんだよ・・・。
そんな話しをしたあの日のアジュンマの顔は
なんともやり切れない顔をしていた。