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空襲でご先祖様も吹き飛んじゃった
「この間やっと・・・・・
お墓を建てることが出来たの
ずうっと気になってはいたんだけど
でもねぇなかなかいろいろとあってねぇ
それでもなんとかやっとお墓を建てられて
これでやっとご先祖様の供養が出来た・・・
そう思えたらなんだかもう私ったら
すっかり気が抜けちゃって・・・。」
「でもね・・・・・
うちのお墓の中には
誰のお骨も入ってないのよ・・・
元々あった先祖代々からのお墓は
空襲で跡形もなく吹き飛んじゃったから
だから新しく建てたうちのお墓の中にはね
まだ誰のお骨も納骨されてないの・・・。」
「だからね 私が最初・・・・・」
そう言ってその人は笑っていたんだけれど
その笑みはとれも淋し気だった・・・。