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アジュンマの話し XXVIII
その若い将校さんは・・・・・
学徒出陣で大学を繰り上げ卒業となって
陸軍の軍事教練を履修するとそれこそいきなり
兵を統率して部隊を取りまとめる責任者の
将校さんに成ってしまった人で・・・。
アタシの所に来ても・・・・・
アタシのことを抱こうともしないで
「僕はね 大学で好きな絵を描いていただけで
戦争なんて興味もないし関わり合いたくもないんだ
だから僕は戦争なんかで絶対に死にたくなんかないし
部下たちも戦争なんかで死なせたくないんだけれど
でも そうも言っていられないご時世だから・・・」
そんな話しをしながその将校さんは
アタシをモデルにしていつも
絵を描いていたんだよ・・・。
そういえば・・・・・
見せてっていくら言っても一度も見せてくれなかったな・・・。
そう言ってアジュンマは口でふふっと笑った。