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恐怖が狂気に変ってそして
「殺らないと殺られる・・・・・
戦場ではそんな恐怖が狂気に
それこそいとも簡単に変わるんです・・・
それまで敵とはいえ人間に銃を向けることを
強く躊躇って震えていた指が手が身体が
一度引き金を弾いたその途端に
ピタッと止まるんです・・・。」
「そして・・・・・
銃を乱射することで
それまで辛うじて保っていた
人間性なんてもんは完全に麻痺して
自分が放った弾丸が敵を殺すところを想像して
戦場で銃を乱射しながら顔が笑っている
そんな人間が結構いました・・・。」
「きっと・・・・・
そういう人間の頭の中では
狂気が快楽に変ったんだと思います・・・。」
その方は話しながら終始笑みを浮かべていた。