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一斉に掌を反すようにして
「私の主人は・・・・・
帝国陸軍の陸軍士官学校をでて
誇りをもってその職に就いた職業軍人でした・・・
故に そんな主人のお陰で私たち家族は戦前戦中と
親戚筋はもとよりご近所の方々からも
尊敬を持って一目置かれている
そんな存在でした・・・。」
「なのに・・・・・
戦争が終わったその途端に
ご近所の方々どころか親戚筋までもが一斉に
掌を反すように主人のことをまるで犯罪者扱いして
『俺たちがこんな目に遭うのは全部お前らの所為だ
なのに のうのうと生きていやがって・・・』
そんな罵声を浴びせられることも・・・。」
「報われませんよね・・・・・
誰よりもこの国の為にこの国のことを思って
命懸けで働いていたそんな主人が哀し過ぎます・・・。」
その方は話しながら悔し涙を堪えていた。