表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/105

15.雷王召喚2

 アフィの提案により、アニーが新魔法”石尖杭ストーンピケット”を創作した。

 さすがは百年に1人の天才と言いたいところだが、これはこれで使い方が難しかった。


「アニーはさ、この魔法、どれぐらいの速さで出せる?」

「うーん、2呼吸……いいえ、3呼吸分くらいね」

「そっか。出す位置は途中で変えられるの?」

「さすがにそれは無理よ」

「うーん、どうやって使ったもんかな? せめて出てくる位置が、あらかじめ分かればいいんだけど」


 せっかく作ったんだから、うまく利用したい。

 しかし動き回る敵に当てるのは、なかなかに難しそうだ。

 するとまたアフィがアドバイスをくれた。


「それなら私が教えてあげるわよ。魔法が発現する兆候を、ワルドが見えるようにすればいいのよね。もう一度ストーンピケットをお願いできる? アニー」

「分かったわ」


 アニーが呪文を詠唱し始めると、地面の一部に赤っぽいモヤが生じた。

 やがて詠唱の完了と共に、そこから石の杭が立ち上がる。


「本当だ。なんか赤っぽいモヤが見えた。これなら俺も作戦が立てやすいな。最初に俺が場所を指示して、そこに敵を追い込んでみよう」

「私はワルドの指示に従って、魔法を使えばいいのね」



 その後、少し連携を練習してから、次の敵を探した。

 やがて2匹の狂暴狼ダイアーウルフが出てきたので、また俺とシヴァが1匹ずつ相手する。

 猛然と飛びかかってくる敵を、しばらくは盾と剣でいなしていた。


 やがて敵の動きに慣れ、余裕が出てきたところでアニーに指示を飛ばす。


「アニー、俺の1歩前に頼む」

「了解……」


 アニーの精神集中後、詠唱が始まると、敵の足元に赤いモヤが発生する。

 なるべく敵を引きつけるようにしていると、やがて石の杭が立ち上がった。


「ギャヒンッ!」


 さすがにど真ん中とはいかなかったが、石杭が敵の脇腹をかする。

 予想外の攻撃に固まったダイアーウルフに、剣でとどめを刺した。

 やがて敵は霞のように消え去り、魔石だけが残される。


 シヴァが抑えていた敵も同様に仕留めると、アニーが近寄ってきた。


「どう? なんとか使えそう?」

「バッチリ。凄く助かるよ」

「よかった。もっと練習して、速く出せるようにするわね」

「ああ、頼むよ」



 その後もしらみつぶしに通路を調べ、ダイアーウルフを倒していった。

 そして昼食を挟んで探索を進めていたら、新たな魔物に遭遇した。


剣牙虎サーベルタイガーね」

「こいつはまた、物騒なのが出てきたな」


 そいつは平野部でよく見られる、凶悪な魔物だった。

 体格は仔牛ほどもあり、特に肩から前足に掛けてが妙にガッシリしている。

 体毛は薄茶色で短く、名前の由来である巨大な牙を上顎に生やしていた。

 サーベルのように反ったその牙は、大ぶりなナイフほどもある。


「ゴウワァァァァーッ!」


 敵が凄まじい咆哮を上げると、一気に距離を詰めてきた。

 俺とシヴァで必死にそれを足止めしようとする。

 しかし今度の敵は、ダイアーウルフよりもずっと強力だった。


 敵の突撃を受け止めたシヴァが、あっさり倒されたのだ。

 さらに首元に伸びてきた敵の前足をシヴァが右手で受けると、そのまま腕をへし折られた。


「シヴァーーーっ!」


 叫びながら斬りかかると、それを嫌ったサーベルタイガーが身を翻した。

 そのまま5歩ほど距離を置いて、こちらの様子を窺っている。

 すると起き上がったシヴァも、無事な左手で盾を構えて俺の隣に立った。


 シヴァはすでに敵でないと思ったのだろうか。

 サーベルタイガーは、俺に的を絞って攻撃をかけてきた。

 俺が必死で剣を振ると、それをかわしながら前足で攻撃をかける。

 それを盾で受けながら、俺も剣を振るう。

 すると俺の剣が敵の肩に浅く入り、敵は身を翻した。


 その後もしばらくシヴァの援護を受けながら、サーベルタイガーと攻防を繰り返した。

 おかげでようやく敵の行動パターンが読めてきたので、アニーに指示を出す。


「アニー、右斜め前に2歩」

「了解」


 アニーの詠唱と同時に、敵が飛びかかってきた。

 それを牽制するように剣を振ると、奴は俺の右前に後退し、また飛びかかる姿勢を見せる。

 しかしそこに、アニーの魔法が炸裂した。


石尖杭ストーンピケット


 敵の真下から伸びた杭が、腹を貫いた。

 それで動きの止まった敵の首筋に、俺が剣を突きたてる。

 これが致命傷となったサーベルタイガーの体が消えると、魔石だけが残される。


「ハアッ、ハアッ……ようやく……倒せたな」

「ワルド、大丈夫? ケガはない?」


 アニーが心配そうに駆け寄ってくる。


「ああ、今の魔法は絶妙だったよ。助かった」

「それならよかったわ」


 嬉しそうに微笑むアニーを、アフィも褒める。


「うん、今のはけっこうよかったわよ。あっ、ワルド。シヴァを送還してくれない?」

「あっ、そうだ。右腕がボッキリ折れてたけど、大丈夫なのか?」

「これくらいなら、盾の中で休ませれば大丈夫よ。頭蓋骨を砕かれない限り、何度でも復活するわ」

「そうか。ありがとうな、シヴァ。しばらく休んでくれ」

「カカカッ!」


 送還を念じると、彼は盾の中へ消えていった。

 頭蓋骨以外なら復活するなんて、便利なもんだな。


「さて、シヴァもいないし、今日はもう戻ろうか?」

「そうね。ちょっと早いけど、私も疲れちゃった」

「俺もクタクタだよ。あんな強い敵が出てくるなんて、厳しい迷宮だよなぁ」

「何言ってんの。これもあなたたちを鍛えるためよ。しっかりと修行しなさい」

「うへえっ、厳しいなぁ」


 まだまだ先は長そうだ。

ぜんぜんPVが増えないので、投稿時間を試行錯誤してます。

以後は午後の時間帯で振っていくことになるのでご了承ください。

感想などもらえると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらもボチボチ投稿しています。

魔境探索は妖精と共に

魔大陸の英雄となった主人公が、新たな冒険で自身のルーツに迫ります。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ