#23 ユウゴウ
本業の仕事が忙しくてなかなか投稿できませんでした。すみません。
この回ではタロの衝撃事実が明らかになってます。ちょっと文字数多いけど、最後まで読んでみてね!
「人間たちが何故こんな色んな夢を抱きながら生きているか、それを知る為にゃあ生命の起源を知る必要があんねん。生命のセの字も分からんお前に教えちゃる。」
この宇宙は広大だ。
西暦など、ほんの、ほんのほんの、ほんのほんのほんのちっぽけな時間に過ぎない。
「ハチロク親分が宿るこの体。すべての記憶がここにある。心して聞けよ。」
人間は1年という月日を、地球が太陽が一周するスパンで勝手に数字化している。
だがひとたび地球から離れれば、人からみたら悠久の時を過ごすかのようなそんな長い長い時間の旅となる。
地球から何万光年と離れているが、天の川銀河から遠く離れたまた別の銀河、とある星では実に変わったさまざまな生物いるのだ。
「お勉強だ。この世界がいかに小さな小さな世界か、お前たちに知ってもらうために。」
ーーーー。
その星は、風速が秒速400mといった木星の風速の比じゃない。
木星のそれでもマッハを超えているが、その星は秒速100kmに満たない速度くらいだろうか。超高速回転だ。ミクロの世界では、トポロジカル物質の中を移動する電子の波が、およそ秒速100kmに達する・・・・という話は抜きにしよう。
とにかく、高速すぎて、まばゆい光を帯びる恒星だ。
人間にとってはとても住むことのできない、過酷そのものの星。
しかしそんな場所にも生物が存在する。
名など無い。けれど彼らは確かに人間に似かよった意識を持っている。
透明な鉱物で出来た生物。
仮に、ロック族と呼ぶことにしよう。
そのロック族はその豪風の中、高速で回る星の中をただ周遊して生きている。
食事や呼吸などはない。何しろ消化器官などないからだ。
しかし、意思はある。
そんな彼らは、いつまでも平和なまま過ごせることを確信していた。
この地球の動物は、脳がシナプスという電気信号を神経を通し、全身に流しながら肉体に指示を与え動作を制御している。
それに似通った生命が暮らす星も多く、この宇宙には存在する。
・・・が、彼らにはそんな機能はない。
各々が飛び回り、ぶつかり合うことで核融合反応を起こしながら、偶然と偶然がぶつかり合ってエネルギーを得ている。不自由極まりないその環境で。
地球でいう、何億年もの間でゆっくりと培われた、これまた、いわば神の設計で。
しばらくぶつからず、エネルギーを得られなかった輩は次第に熱で溶け、恒星の一部となる。
しかし運のいい個体は別の同じ種のロック族とぶつかって、
「やったー!!!」
と、エネルギーを得ながら弾け、個体を増やし、また別の個体との衝突を夢見ながらとにかく飛び回るのだ。
速い速い!もっと早く回りたい!次はいつ、どの程度の大きいのとぶつかれるかな?
まったく、わけがわからないだろう。一体何のために、星の高速運動に身を任せ、自らを制御して生きているのか。
彼らはそれだけで、幸せだった。
運命に100%の身をゆだねるのだ。
その中で思考して、想像して、とある夢を追い続ける。
目など無い。匂いも、音も感じない。ただ、振動と共に感じる、回っているだけで感じられるこの幸福感。
時折、地球でいうところの1000年平均でおきるロック族同士の衝突は、まるで種が存続するための交配だ。だが、1000年と言っても彼らにとっては人間の感覚で言えば20年程度だ。
そんな生活が永遠に続くと思われた。
星が出来て、彼らは増え、次第にお互い意思疎通ができるようになり、目にもとまらぬ速さを感じ、いずれ一期一会な一瞬の衝突することを生きがいとし、衝突により伝わる意識から文化が生まれ、その想像の続きを紡ぎ続けている。
例え自分のその尊い意思が紡がれなくても、いずれどこかでこの星のコアが弾けて、遠い星のどこかへ、届けてくれるだろう。
そうだな。こんな形がいいな。でも、この意思をどうやって保存しよう?
じゃあ、こうやってー、こうしよう。
でも、物理的に耐えられるかな?
じゃあ、zyo(&'"''"ntba-"jthbz!&'(sla~#(タンパク質)を使おうか。
これなら再生できるはず。
むむむ。ええと、こうやってー、こうしようか。あはは!
面白い形になったな。
んー、私たちのような感情はどうやって維持させようか?
どうやってコントロールさせようか?
あ、それは私たちのように、いろんな個体がいる世界であればいいよね。
多分、私たちのようにお互いに刺激しあって、意見をぶつけ合って、いろんな価値観があって、それらがぶつかり合えばきっと新たな刺激になって、新たな感情が生まれ、それが維持されるよね。
ええと、じゃあどうやって個体を増やせばいいかな?
ある程度は、運だけじゃなくて、自分でそれらをコントロールできるとしたらどうだろう?
結局はそのコントロールさえも、何億年も前から決まってる運命なのだけど、そういうのもいいね。
皆が夢を見れるとおもうんだ。あたかも選択できるようにしておこう。
そう考えていることすら、運命なのだけど、その時に起きるている事象はきっと限りなく複雑で、きっと彼らは自分たちの存在を、選択によって存続させていると想像するんだろうな。
よし、私たちと同じような、4種のタンパク質を用意した。
これで存続できるだろう。
では、どうやって感情を培おう?
これは難しい問題だ。
つまらなくなったら、存続できない。
んー、楽しい、嬉しい、、、
うーん、それだけだとなぁ。。。
きっと私たちのように、いずれ星が崩壊して何も残せないまま終わってしまうよね。
存続したい、この思いを紡ぎたい。
もっと、自由になりたい。
これを欲望と呼ぼう。欲望を設計すればいい。
これさえあれば、嫌でも存続するだろう。
そして接触して、分裂して、個を増やす。それでいこう。
彼らは4種のタンパクによって、これらを詰め込んだ、遺伝子を設計した。
・・・私達はこの心以外は不自由で、とても単純な運命の中でしか生きられなかった。
でも心は自由で、きっとこれがいつか形になってくれると信じている。
神様。どうか、この思いを紡いでね。
そしていつか、この明るい点は、何億年前に、弾けた。
ーーーー。
ワミコはわけがわからなかった。
知恵熱でワミコの頭はパンク寸前だ。
「はっはっは!まだ生まれてそう時間もたってないワミコにはちょっと難しすぎたか?すべての生命には何かしらの目的や夢、つまりは『欲望』があるってことだ。」
欲望?
「よ、欲望なんて、普通だれにでもあるけど、遠い未来の欲望なんて無くてもいいじゃん!」
「今はな。今は目の前だけでいい。今感じている欲望のままに生きていても体も若いし大丈夫だろう。だがな、そのうちその先の事を考えるようになる。あと1年後、お前は4匹の姉と同じ歳になるがあいつらもきっと、今のお前と同じような感覚で生きていただろう。だが抱いてる夢や目的は今のお前とは全く違う。成長すれば、経験すれば、そのうちわかるだろう。」
「せやな!猫っちゅーもんは、あの駅にいるような人間たちと頭の作りが違う。思考の速さはワイらの方が上や。物事の吸収力がちゃうねん。遠い未来の欲望も、嫌でも湧くワイ。」
・・・!!!!
「ほう。向こうからおいでなすった。」
「ワミコ。こいつもその俺たちと形は全く違えど、強く、同じく夢や目的をもって行動している。だが怪物だ。こいつは遠い過去から紡がれた遺伝子を脅かす存在だ。」
そのどす黒い感情を抱くヤツが、どうやってきたのか、この雑居ビルの屋上に突如現れた。
「み、み、つ、け、た。お、お前たちは何を望む?わ、わ、我が名はエロヒム。」
首をかしげている。
「おい、お前たち。下がってろ。ヨカゼ。全力で子供たちを守れ。」
バッチがエロヒムを睨みつける。
「じゃかあしいわい!エロヒム!・・・今更わが名は?知っとるわそんなこと!久しぶりやの。」
「?」
「お前はこの地球の生命を甘く見過ぎちょる。ワイらは陣爺の命が奪われたことへの復讐に来た。これは星と星の戦争やわいな。」
「こ、こ、この星の命は、す、全て、わ、わ、我々の資源だ。お、お、お前は、い、イレギュラーだ。排除する。わ、惑星オラムの御心のままに。」
「無理無理。地球に居る時点で、お前が支配されていることに気づかんか?神気取りかいな。笑わせよるわ。」
「ふんっ!!!!」
どごぉおおおお!!!!
タロがエロヒムのこめかみに怒涛の猫パンチを食らわした。
「ご、が、ご・・・」
「あん時の幼いワイとちゃうで?」
どごぉおおおおおおおおおお!!
タロはもう一発、ドロップキックのような強烈な猫キックを食らわせる。
それと共に佐吉は歌いだす。
「にゃーにゃーにゃ、にゃーにゃにゃ───」
(とおりゃんせとおりゃんせー
ここはどこのほそみちじゃー)
どごぉおおおおおお!!
エロヒムの口から血反吐があふれ出る。動こうとする間もなく、タロの強烈な拳やらとがった足やらがさく裂する。
「お前は何もできない。たとえ惑星オラムが動こうとも。この地球に手出しをしたら。この星の生命を脅かすようなことをしたら。容赦はしない。お前らの糧にするわけにはいかない。」
「にゃーにゃにゃーにゃにゃにゃ、にゃにゃにゃにゃにゃ──」
(てんじんさまのほそみちじゃ
ちっととおして くだしゃんせ)
何やらエロヒムの、人間のような肉体が変貌してゆく。
まるで神話のトロルのような巨体に。
しかしそんなことどうでも良いかのような素振りで、佐吉は歌い続ける。
「にゃにゃにゃにゃー、にゃにゃにゃ、にゃにゃにゃにゃにゃ──」
(ごようのないものとおしゃせぬ
このこのななつのお祝いに
おふだをおさめにまいります)
「ごぉおおお!」
ドがーん!!!!!
タロを目掛けて物凄い体当たりをぶちかます。
屋上の、空調機器がひしゃげた。
ヨカゼと子供たちは距離を取る。
しかしタロは見切って、既に別の場所にいる。
「ふんっ。それは、過去にゼニスに教えた技か?」
「?? な、な、何故それを?」
かぶせ気味で佐吉が歌い続ける。
「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ、にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ──」
(いきはよいよい かえりはこわい
こわいながらも
とおりゃんせとおりゃんせ)
「ねえ母ちゃんー、佐吉のおっちゃん歌へったクソで耳障りなんだけどー。ダルいわー。」
「フフッ。そうだね。でもねえ。この日本の歌には、それは深い深い意味があってね。これは恨みの歌。これを今歌うことには意味があるのよ。」
タロは渾身の猫パンチをエロヒムにぶちかます
どっがーん!!!!!!!
屋上にあった壁に張り付いていた広告が血塗られた。
「ぶはあ!!!ふ、ふ、は、ぶあああ、な、何者、だ?!」
「死ぬ前に教えてやろう。俺は現世ではタロ。前世は、お前が知っているゼニスだ。すべてを知って、お前をこの世から消し去るため、俺は日々鍛え抜いてきた。資源だ?惑星オラムだ?笑わせるな。」




