第37話
ダンスパーティーも無事に終わったと思ったらすぐにプレアデスに誘われたミレーヌ嬢のお茶会です。体力的にキッツいっすわ。
学園ものの乙女ゲームの主人公なんて・・・。
平日→学校(各教科パラ上げ)、部活、バイト
休日→バイト、部活、デート、パラ上げや休養
日々修行の如くパラ上げを行い、その合間に恋愛イベント起こしてしかし、過度にパラ上げをすれば寝込むとかのリアリティまであるもんだから適度にストレスを下げねばならない。しかし、ストレスを下げるとパラも少しだが下がるからおちおち休養もしてられず・・・。
パネェ。乙女ゲームの主人公のバイタリティ、パネェっすよ。最早神がかってるとしかいえない体力の持ち主。
だ、私サポキャラなのに、なんでこんな主人公並のイベントをこなしているのだろう。この環境は前世の自分と正反対すぎる。家で本読んでいたい。乙女ゲームしたい。BL関係の薄い本読みたい!!
と、ほぼ愚痴という前置きが長くなりましたが正に今、プレアデスの馬車に乗ってミレーヌ嬢のお屋敷を目指している途中であります。
ミレーヌ嬢のお屋敷は、プレアデスのお父様が統治する国、プラネタリアにあるので、早朝早くに出発したから眠いのなんのって。
ボニーとユミルが張り切ってメイクやらドレスの着付けやらしてくれたのでそんなにはおこちゃまには見えないと思うけど、どうなのかな?
「今日のお前の淡いピンク色のドレスは桜を思い出すな」
「本当!?正に桜をイメージしたんだ。あ、これ胸元に付けて」
「うん?桜の花をモチーフにしたブローチか」
「ええ、私の髪飾りとお揃いで、ボニーが用意してくれたのよ」
私はプレアデスの胸ポケットにブローチを付けた。ふふ、桜の花の話をしてわかってくれるだけで凄く嬉しい。ボニーやユミルに言っても知らないみたいで、この桜デザインのアクセサリーは私のオリジナルだと言う事になってしまった。
「へぇ・・・。お揃いか」
「あっ!こ、こ、これは、ボニーがプレアデスと私が恋人同士に見える様にって・・・」
「うん」
ちょ、ちょっと!どうしてこんなに顔を近付けるのよ・・・。
「へぇ、本当だ。お前の髪の色もピンクだし、可愛いじゃねぇか」
「へっ?あ、ありがと」
プレアデスは、アクセサリーを褒めただけで、私を可愛いって言ったわけじゃないわ!なんだか私、こないだからプレアデスの事意識しすぎよね。でも、大好きな声優さんの声だから、もっと声を聴きたい。砂を吐くような甘い言葉を囁いてほし・・・。
「ぅ、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「うをっ!?な、なんだ!」
プレアデスの身体がビクッと跳ねた。
いやいやいやいや、駄目でしょう、それは。サポキャラなのに、主人公の攻略対象に愛の言葉囁かれちゃ駄目でしょう!
くっ。しかし、プレアデスの声で甘い言葉を聞きたいけど、プレアデスがアンジュを口説いている時に私が同伴してはいけないというジレンマ!!
あー、キャラクター毎にあるクリア特典のボイス再生とか出来ないかな。あ、そもそも、それ以前に私プレアデスを攻略してないから無理かー・・・。
はー、前世でプレアデスルート未プレイだからなー。どんなイベントがあるかわからないから、アンジュがプレアデスルートに入ってもサポート出来ないなぁ・・・。ホッ。
・・・ん?なんで、ホッ?
「ど、どうした?(ドキドキ)」
「はっ!い、いえ。なんでもないわ」
「変なやつだなぁ。まだ後1時間はかかるから、眠けりゃ俺に寄りかかって寝ろよ」
「はー、プラネタリアって遠いのね。でも結構よ」
「いずれは俺とお前のもんになる国だ」
「ばっ・・・!私には荷が重過ぎるわ。それに、私より相応しい女性が・・・」
「はぁっ。お前も強情だな。後にも先にも俺にはお前しか居ねぇっつってんだろが。次同じ事言ったら無理矢理にでも俺のものにするからな?」
プレアデスが私の首筋にキスをした。強く吸われ、チクッとした痛みが走る。
「んっ・・・・・・!」
やだ!変な感じ!!変な声が出てしまった!こ、この男、誰とも付き合った事が無い癖にこの手の速さはなんなの!?えっ?まさか!“一回ヤッただけで彼女面すんなよ”って輩!?付き合った事は無いけど経験豊富な人!?ひぃぃぃ。怖っ!身の危険を感じるわ・・・。チラッとプレアデスを見ると顔を真っ赤にしていた。あれ・・・?
「プレア・・・」
「お、お前が悪いんだからな!!へ、へ、変な声出すからっ!」
「あ、アナタが変な事するからでしょう!?」
「しょ、しょうがねぇだろ!お前が可愛いのがいけねぇ」
「なんで、私のせいなのよ!?あ・・・、あなたはこういう事慣れてるでしょうけど・・・」
「慣れてねぇよ!キスだってさっきのだってお前にしかした事ねぇよ!!」
「えっ・・・!?」
「悪ぃかよ・・・」
プレアデスは顔を赤くしたままプイッと向こうを向いてしまった。
わぁぁぁ。なんなの、この空気。なんて事を大声で言い争っているのよ。
気まずい空気のまま、馬車はプラネタリアに入った。プラネタリアは、海と面しており港で漁業が盛んである。シードゥスは内陸国なので、こうして遠出しない限りは海は見れない。
「わぁぁ!海だわっ!キラキラしていてとても綺麗ね」
滅多に見れない海に私はワクワクしてはしゃいでしまった。
「ククッ。今日は無理だけど、夏休みにアンジュも誘って海に行かないか?」
「行きたい!!」
私の人生史上こんな綺麗な海を見たのは初めてだった。皆で行く海はとても楽しそうだ。
ふふ、夏休みの楽しみが出来たわ。
「もう少しで着くぞ。あぁ、ほらあそこの屋敷だ」
ミレーヌ嬢のお屋敷は、緑が多くとてもセンスのいい庭があり、建物自体も歴史を感じさせる立派なものだった。
敷地内に入り、屋敷の入口前で馬車から降りた。プレアデスが屋敷のドアをノックすると、すぐさま派手な女性が出てきた。
「まぁ、プレアデス殿下ご機嫌よう。遠い所はるばる私の為にお越し下さり、ありがとうございます」
「いや、こちらこそ、招待頂き光栄に思う」
「あら・・・そちらは?」
派手な女性は私をチラッと蔑む様に見た。このアクの強さは・・・。この人がミレーヌ嬢に違いない。
「俺の恋人のジゼルだ。まだ社交の場に慣れていないから今回同伴させた」
「えと、ジゼル・オーランシュと申します。経験不足なので、失礼があるかもしれませんが、本日はどうぞ宜しくお願いします」
「はっ?恋人・・・ですか?」
「そうだ。ゆくゆくは結婚も考えている」
「そ、そうですか。私はミレーヌと申します。本日は楽しんでいらしてくださいませね。さ、こちらから中庭へ」
こ、怖いっ!プレアデスが私を恋人と言った時のミレーヌ嬢の目がキッと見開かれ私を睨みつけた。うぅ、ユミルのアドバイスでは無いが余りの恐怖にプレアデスの腕にしがみつくミッションはクリアした。
丸坊主・・・丸坊主・・・。いつ?どこで?うぉぉぉ!こぇぇ。緊張して足がつりそうなんですけど。
中庭は綺麗な花が咲いており、彫刻や噴水があり、外から見えた庭同様センスの良い中庭だった。
既に招待客の女性が数人居り、プレアデスに気付くとワッと駆け寄ってきた。
「プレアデス殿下、ご機嫌麗しゅう。今日は殿下が参加なさると聞いてとても楽しみにしていましたのよ」
「プレアデス殿下。今日の装いも素敵ですわね」
「殿下、家の娘のリッタですわ。是非仲良くして頂きたく・・・」
おぉっと!ドンッと弾き飛ばされてしまった。凄いな、やっぱり王子様はどこに行ってもこんなんなのか・・・。
私は輪の外から、ガツガツしているレディ達と鼻息荒いおば様達がお互いに牽制しあっている様を観察・・・いや、眺めていた。
ここまでお読みくださいまして、ありがとうございました┏○))ペコッ
11/17誤字を修正しました!すみませんでした!




