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8ー1 在処

 8ー1 在処


 「わしらは、あの子らを気味悪く思いながらも受け入れた」

 理由は、ライザの聖樹の巫女としての適性の高さだった。

 「ライザには、聖なる力を必要とする巫女としての素質があった。だから、特別にわしの側に置くことにした。その弟のルーアもまた村で養うこととした」

 ライザは、聖樹の巫女として修行に励んだ。

 しかも。

 ライザが巫女となってからしばらくして、聖樹が実をつけた。

 「聖樹が実をつけることなどこの村が始まって以来のことだった」

 それと対をなすかのように山には、『サク』が訪れるようになった。

 「山の神があのような邪悪な姿となりうろつくようになったのは、おそらく神を封じていた封印を誰かが解いた故だった」

 婆さまが憔悴した表情を浮かべる。

 「わしは……聖樹の巫女頭でありながらこの時まで重大なことを見過ごしていた。いや、気がつかぬふりをしていたのかもしれん」

 婆さまは、深いため息をつく。

 「つまり、わしも老いたのよ」

 婆さまは、跡取りであるロミアを失ったことを知ったとき、戻ってきた孫たちを受け入れることにした。

 それは、ライザたちが孫だからというだけではなかった。

 聖樹の巫女の血を絶やすわけにはいかなかったからだ。

 「今思えば全てがそれを示していた」

 婆さまは、血走った眼を見開いて俺をじっと見つめた。

 「わしの娘は、罪を犯したのだよ」

 俺は。

 婆さまから視線を外すことができなかった。

 婆さまは、続けた。

 「ロミアは……最大の禁忌を犯した。神の封印を解き、そこに隠されていた『聖女の心臓』を取り出した」

 俺は、続きをききたくなかった。

 きけば、誰かが不幸になりそうで。

 婆さまもそこで黙り込んだ。

 口にさえ出さなければ不幸は訪れないというように。

 だが。

 沈黙に堪えきれずに最初にそれを口に出したのはアイダさんだった。

 「その『聖女の心臓』は、今、どこにあるんだ?」

 婆さまの肩がびくんと跳ねた。

 「それは……」

 婆さまが消え入りそうなほど細い声で告げた。

 「ライザの体内に」 

 

 

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