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7ー10 死者の帰還

 7ー10 死者の帰還


 「もしや……あなた様もあれを手に入れるためにこの地に?」

 婆さまの表情が強ばる。

 「確かに、あれを手に入れればどんな願いも叶えられると言い伝えられておりますが……しかし、あれは、呪われたもの。持つ者に不幸をもたらす呪物でございます」

 「やっぱりあなたは、『聖女の心臓』の在処をご存知なんですね?」

 俺は、興奮を隠せない。

 ラザニエルさんが探していた大切なもの。

 それの在処がわかるのだ!

 「『聖女の心臓』は、どこにあるのですか?」

 俺は、問う。

 婆さまは、口を閉ざした。

 その眼差しは、暗く、悲しげだ。

 何か、重大な秘密がある。

 俺は、直感で感じていた。

 しかし。

 俺は、ラザニエルさんのために知りたかった。

 「お願いします!」

 俺は、婆さまに詰めよった。

 「俺の知り合いが……彼女にとってそれは、すごく大切なもので、ずっと探しているんです!何か知っているなら教えてください!」

 俺は、婆さまに訴えた。

 婆さまは、口を開きかけて。

 そして、また、閉ざした。

 俺は、婆さまが話してくれるのを待った。

 婆さまは。

 嗄れた声で話し出した。

 「あれは……15年前のことだ」

 婆さまが遠くを見るような目で俺を見つめる。

 「わしの娘……ロミアがそとびとを連れてきた。その者は、魔王を研究している学者だと言った」

 ロミアは、そとびとを連れ込んだだけではなく、そのそとびとの子を宿した。

 「許されぬことだった」

 婆さまは、苦渋に満ちた表情で語った。

 「わしらは……その子が産まれるとすぐに命を奪おうとした」

 しかし。

 その子は、死ななかった。

 いや。

 実際には、死んだのだ。

 「死んだ、筈だった」

 婆さまが疲れたような声を発する。

 「だが、数年後、わしの前にその子は再び現れた」

 そとびとと共に里を去ったロミア。

 彼女が去って8年の月日が過ぎた頃に村に戻ってきたのだ。

 「死んだ筈のライザが赤子を抱いて戻ってきた」

 母のロミアは、その夫であるそとびとと共に山で暮らしていたのだが、2人とも病に倒れたのだという。

 残されたライザは、弟であるルーアを連れて村へと戻ってきた。

 死者の帰還に村は、おののいた。

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