6ー9 お手柔らかに!
6ー9 お手柔らかに!
俺は、みなに席を外してもらうと魔鏡を手に取った。
「ラザニエルさん!」
呼び掛けるとすぐにラザニエルさんの存在を側に感じる。
(どうしたの?クロウズ君)
(実は……)
俺は、これまでのあらましを説明する。
(なるほど。それでどうしたらいいかわからなくなったってことね?)
俺は、こくりと頷いた。
ラザニエルさんは、告げた。
(すぐにアイダさんたちを追いかけなさい!)
(でも)
(でも、じゃない!)
ラザニエルさんが声を強める。
(このままじゃ、アイダさんがあぶないわ!ていうか、あなたが作ってた時、どっかで見たことがある布だなかぁ、って思ってたんだけど、思い出した!あれ、精霊界で作られてた布よ!)
マジですか?
なんでそんな大事なこと、忘れてたの?
(ごめん!あたしもこっちの世界に来てからいろいろあったから!)
ラザニエルさんが言うには、精霊界と近しい場所にある最果ての森には、精霊界のものが紛れ込んでいることがあるんだとか。
(つまり、麻、じゃなくてイームス草は、精霊界の草なの?)
(そうよ)
ラザニエルさんが続けた。
(この世界における神は、精霊の下位種族にあたるわ。もしかしたらイームス布は、山の神に何か関係があるのかも。それか……山の神は、精霊界と関わりがあるのか)
ラザニエルさんは、何かわかったらすぐに連絡する、といって通信を切った。
俺は、いそいでみなを呼び集めると山へと向かうことを告げた。
「でも!今は、『サク』が!」
ルーア君に俺は、頷く。
「わかってる。だから、行くのは俺とアネッサだけだ」
俺は、アネッサに問いかけた。
「行ってくれるだろう?アネッサ」
「仕方がないな」
アネッサは、つん、とそっぽを向いた。
「これも全ては、我が主殿のお気に入りのため。だが、いい気になるなよ?小僧。お前など主の許しさえあればすぐに滅してやる!」
俺は、アネッサの言葉に引きつった笑いを浮かべていた。
「お手柔らかに……お願いします」




