6ー1 出発
6ー1 出発
アズールの町での『ローム病』騒ぎが落ち着くと俺たちは、最初の目的だったライズの街へと出発することにした。
人さらいの件は、騎士団に任せることにする。
餅は餅屋だ。
テイルズの手配で人さらいの一味は、領都アナゼルへと連行して詳しく取り調べることとなった。
「どうやら背後にかなり大きな奴隷売買組織があるようです」
テイルズからの報告では、人さらいの一味のリーダーである男は、もと冒険者崩れで王都ノクタールで奴隷商人に雇われたのだという。
俺は、テイルズたちにこの件を一任することにして領地の視察を続けることにした。
人さらいにさらわれた少女たちは、それぞれの家族のもとへと送り届けられることとなった。
俺は、ルーア君とその姉のライザをライズの街まで同行させることにした。
最初は、ルーア君のことを『ローム病』の発端として意味嫌っていたアズールの町の人々だったが本当に病を持ち込んだのが人さらいの連中だったことを知ると態度を改めてくれた。
一度山を出たものを受け入れないという山の民の掟によってルーア君とライザが家族のもとに戻れない可能性があることを知ると人々は、このままアズールの町で暮らすことを提案した。
しかし、山の民に戻ることができずとも側で暮らしたいというライザの希望もあり俺たちが2人をライズの街まで送り届けることとなったのだ。
出発の日、初めて荷馬車の前でルーア君とライザと顔をあわせたアイダさんは、気まずげな表情をした。
「すまなかったな。お前たちが病の原因だとばかり思っていたんだ」
アイダさんは、ぼそっとそれだけ告げるとさっさと御者台へと向かった。
ルーア君は、肩をすくめる。
「別にいいって。俺たちは、嫌われてるからな」
俺とアネッサたち、それにルーア君とライザが乗り込むとアイダさんは、荷馬車を出す。
俺たちの出発をアズールの町の人々が見送ってくれた。
その中には、ロイとメイの姿もあった。
「ルーア、もし、家に帰れなかったら戻ってこいよ!一緒に暮らそう!」
ひとりぼっちになってしまったロイは、町長宅を出てセルム翁のもとに引き取られることになっていた。
「ああ!」
ルーア君は、ロイとメイに手を振りながら答える。
「きっと、また来るよ!」




