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1ー4 薬草

 1ー4 薬草


 その日の夕方がきても少女は目を覚まさなかった。

 俺は、獣人の女、名をアネッサというらしい、に頼んで薬草を探しに行くことにした。

 父の後妻や彼女の息子たちは、好きではなかったが義妹は、別だ。

 彼女だけは、俺に優しかったし。

 それに俺は、気付かないうちに義妹に異世界に置いてきた妹の姿を重ねていた。

 この世界での俺は、まだ7才になったばかりだった。

 それでも病で苦しむ義妹のために薬草をとって帰りたかった。

 薬草を取りに行くように命じたのは義母だったが半分ぐらいは俺の意思だった。

 義妹の病にきく薬草は、とても高価で貧乏な平民なら半年は暮らせるぐらいの価値があった。

 セフィール辺境伯家は、貴族だし貧乏なわけでもない。

 だが、父母は、病弱で魔力量もあまりない義妹にあまり関心を持ってなかった。

 といっても魔力なしでほぼほぼ使用人扱いの俺とは違い、ちゃんとお嬢様として暮らせているが同じ貴族の子弟の集まりには参加させることはなかった。

 俺の話を聞いたアネッサは、小屋の周囲なら薬草をとってもかまわない、と許可してくれた。

 「あのお方が目覚めたときにお前がいなければまずいことになる」

 アネッサは、俺にきつく言い渡した。

 「絶対に小屋から離れた場所には行ってはいけないよ」

 俺は、こくこくと頷いたがそんな言葉に従う気はなかった。

 義妹の治療に必要な薬草は、森の奥の魔物が住む辺りまで行かなくては手に入らないのだ。

 俺は、小屋を出ると周囲を見回し立ち尽くした。

 小屋があったのは森の俺が知らないところだったからだ。

 ふかふかに苔が覆う地面には、見たこともない花が咲いている。

 今の季節は、秋の終わりだというのに!

 木々の梢の間から差し込む日の光は確かに秋のものだった。

 だが。

 小屋の周辺には、美しい花々が咲き乱れて甘い香りが漂っている。

 「ここは……いったい?」

 小屋の回りの花を眺めながら歩いていて俺は、目が飛び出るぐらい驚いた。

 花々の咲いている片隅に俺が探していた薬草があったからだ。

 青い小さな花をつけたそれは、間違いなく俺が探しているロズスの花だった。

 「なんでこんな人家の近くに?」

 俺は、不審に思いつつもロズスの花を丁寧に根本から採集すると大切にハンカチに包んでズボンのポケットに仕舞う。

 これをはやく義妹のもとに届けてやらなくては!

 

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