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4ー9 死臭

 4ー9 死臭


 俺たちは、湿地帯を抜けた先にある小さな町アズールで一泊することにした。

 小さな町だが、アイダさんが言うには、美しい手工業で有名な町なんだとか。

 手工業?

 もしかして名産になりうる感じ?

 俺は、目を輝かせる。

 「どんな手工業が盛んなの?」

 「きれいな編み物だよ。すごく凝った作りで王都の淑女たちがハンカチにしたりドレスに飾ったりする」

 アイダさんの説明からするとそれってレースみたいなものかな?

 俺は、手工業で作られた品を見るのが楽しみだった。

 病でまだ部屋にこもっている義妹とラザニエルさん、それにローザにもお土産を買っちゃおうかな。

 だが。

 町に入ったとたんに俺たちは、異変を感じていた。

 町には、驚くほどに活気がない。

 というか、通りを歩いている人がいない。

 もう夕暮れとはいえ、変だ。

 第一、どの家にも灯りも点っていないし!

 「おかしいな……前に来た時はもっと賑やかな町だったんだが」

 アイダさんは、宿屋らしい建物の前に荷馬車を停めた。

 「ちょっと待っててくれるか?今夜の宿を決めてくる」

 木製の建物の中へと入っていくアイダさんを俺は、見送った。

 「おい、チビ」

 アネッサが奥からもそりと顔を出す。

 「はやくこの町を出た方がいいぞ。死臭がする」

 マジで?

 俺が驚いているとアイダさんが建物から出てくる。

 「アイダさん?」

 呼び掛けた俺にアイダさんが顔を歪める。

 「まずいことになった」

 アイダさんが御者台に飛び乗ると馬を走らせようとしたので俺は、急いで訊ねた。

 「何が?」

 「伝染病だ!」

 伝染病?

 何それ?

 俺が首を傾げる間にアイダさんは、馬車を出した。

 薄暗くなってきた町の中を馬車を走らせるアイダさん。

 そのとき、何かが前に飛び出してきて!

 「危ない!」

 なんとか馬を停めるとアイダさんが叫んだ。

 「危ないじゃないか!」

 「ご、ごめんなさいっ!」

 馬のすぐ側に座り込んでいるのは幼い少女だった。

 アイダさんは、馬車から降りると少女に駆け寄る。

 「大丈夫か?ケガは?」

 

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