4ー3 魔鏡
4ー3 魔鏡
応接室に俺とラザニエルさんとアネッサが入っていくと代官たちは、それぞれ何かいいたげな顔をした。
「セフィール辺境伯閣下は、体調不良のため引退され当面、当主代理を嫡男であるクロウズ様がつとめられることとなりました」
ラザニエルさんが告げると中年男たちは、顔を見合わせてほくそ笑んだ。
「そうでございますか。クロウズ様にとっては、いろいろと慣れないことでございましょう。我々がしっかりと補佐してまいりますのでご安心を」
「あり得ない!」
突然、眼鏡の青年が声を上げた。
「ただでさえ苦境にあるこの辺境伯領をこんな子供……失礼!経験のない若様が治められるなんて無理では?」
「黙れ!」
「無礼だぞ!カイ・ロルム!控えろ!」
2人の中年男たちが口をそろえて青年を攻撃する。
俺は、にこりと微笑むとポケットからラザニエルさんの魔鏡を取り出しテーブルの上に置いた。
「これは、俺が最果ての森で手に入れた魔道具です。この鏡が俺の手助けをしてくれます」
「はぁ……」
3人の代官たちがきょとんとしてテーブルの上に置かれた小さな丸い鏡を覗き込む。
と。
『この中に正しい者は、1人だけ』
魔鏡が告げるのをきいて中年男たちの顔色が変わる。
「な、何をいう!」
「この!怪しげな!もしや、若様に取り憑いた魔物では!?」
俺がぱちん、と指を鳴らすとアネッサが進み出て2人の中年男たちの首もとを掴んで持ち上げるとそのまま部屋から出ていく。
「な、何をする!」
「我らは、代々辺境伯家の代官をつとめてきた名家の者だぞ!」
「お前たちは、首だ」
アネッサは、きっぱりと言い放つと2人を外で待機していた騎士たちに引き渡した。
「いったいどういうことですか?」
残されたカイ・ロルムが俺にきくので俺は、説明した。
「この魔鏡は、真実を映す鏡だ。お前たちの普段の働きはすでにこの魔鏡によって見透かされていたんだよ」
「この辺境伯領の代官の中でもと領主であったセフィール辺境伯と通じて汚職をしてなかった者は、あなただけだったのよ、カイ」
ラザニエルさんがにっこりと微笑むとカイさんは、一瞬、頬を赤く染めてうつ向くともごもごと呟く。
「しかし、代官が僕1人になっては、執務が滞ります」




