3ー7 生け贄?
3ー7 生け贄?
「ほんとは、もっとはやくにクロウズ君には話しておくべきだったんだけど」
ラザニエルさんがリビングのソファに腰かけて話し出す。
俺は、紅茶とクッキーを用意しながら耳を傾けていた。
ラザニエルさんは、俺が差し出した紅茶のカップを受け取りながら続けた。
「あたし、実は、不死なのよ」
不死?
俺は、ポカンとしてしまう。
精霊って死なないんじゃないの?
「精霊でも人間と同じ。年をとれば死ぬし、殺されれば死ぬわ。でも、あたしは、死なない」
ラザニエルさんがカップを手に持ったままうつ向いた。
「あたしには、生まれた時から心臓がないの」
はいっ?
俺は、ぎょっとしてラザニエルさんを二度見してしまう。
心臓がない?
「でも、生きてるじゃない。なんで心臓がないのに生きていられるわけ?」
俺の問いにラザニエルさんがうつ向いたまま答えた。
「あたしは、心臓を持たずに生まれた。けど、呪いを受けているから生きていられるの」
ええっ?
俺は、ますます意味がわからなくなる。
呪いを受けているから心臓がなくても生きてるって?
どういうこと?
ラザニエルさんは、カップの紅茶を1口飲むとカップをテーブルに戻す。
「実は、あたしには、前世の記憶があるの」
「知ってますよ」
ラザニエルさんが俺と同じ前世持ちということは俺もよく知っていることだ。
でも、ラザニエルさんは、頭を振った。
「違うの。実は、あたしには、前世の記憶とその前の前世、前々世の記憶があるの」
なんでもラザニエルさんが日本人だったのは前々世のことで前世では、この世界の人界の聖女だったらしい。
「すごいなぁ。聖女、かぁ」
俺が感心しているとラザニエルさんが悲しげな顔をする。
「聖女っていってもそんないいものじゃないし。あたしは、魔王の生け贄になるために聖女になったんだから」
魔王の生け贄ですか?
俺が話についていけずにポッカーンとしているのを見てラザニエルさんがふっと自嘲的な笑みを浮かべる。
「そう。あたしは、前世で魔王を封じるための生け贄として勇者に殺されたのよ」




