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17ー4 人形

 17ー4 人形


 「ミリィ!!」

 ごぅっと燃え上がる炎の中でルースを抱き締めるミリィの姿を俺は見た。

 ミリィは。

 光の消えた瞳から流れ落ちる涙が煌めく。

 「ミリィ?」

 ルースがミリィを押し離そうとするがミリィは離れようとはしなかった。

 ぎぎっとゆっくりとミリィが顔を上げてルースを見た。

 「かわいそうなわたしのご主人様」

 ミリィの感情のない声が辺りに響く。

 俺は。

 黒い炎に包まれていく2人を見つめて何もできなかった。

 「離せ!ミリィ!」

 「共に逝きましょう、我が主よ」

 ミリィの全身から体を覆っていた皮膚が溶け落ちその造られた肉体が露になっていく。

 それと反してミリィの瞳には、人の感情の煌めきが宿っていた。

 「我が愛しい人」

 「ミリィ……」

 黒い炎の中で抱きあう2人。

 やがてそのシルエットも燃え尽きて崩れ落ちていった。

 

 俺とアルトは、洞窟内に火を放った。

 燃え上がる聖女の花は、苦しげな呻き声を上げて燃え上がる。

 聖女の花が残らず消え去るのを見届けると俺はアルトと共に領主の屋敷へと戻った。

 屋敷に戻るとそこは、地獄だった。

 逃げ惑う貴族の連中をラザニエルさんの放った小精霊たちが巨大な口を開いて丸のみしていく。

 ええっ!?

 俺は、思わずびびっていた。

 あいつら、肉食だったの?

 「あ、クロウズ君!」

 俺たちに気付いたラザニエルさんが手を振りながら駆けてくる。

 その後をぶよんぶよんに膨れ上がった小精霊たちが追ってくるのが見えて俺は、ぎょっとしてしまう。

 俺の様子を見てラザニエルさんがふふっと笑みを漏らした。

 「大丈夫よぉ、クロウズ君。この子たち、人肉は食べないから」

 マジかよ?

 てか、人を飲み込んでたし!

 「みなさんを安全に逃げないように確保するためにちょっと協力してもらっているだけだから」

 可愛らしく微笑むラザニエルさんに俺は、ぞわっと背筋が冷たくなる。

 この人は、絶対に敵に回してはいけない!

 「アルフェは?」

 アルトがラザニエルさんに問う。

 ラザニエルさんは、指で向こうを指した。

 そこには。

 とらえた貴族たちを縛り上げているアルフェの姿があった。

 

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