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17ー2 道具

 17ー2 道具


 光が消えて目を開くと俺たちは、薄暗い場所に放り出されていた。

 湿った土の匂いに混じって甘い花の匂いがする。

 聖女の花?

 俺は、顔を上げた。

 暗い天井に仄かに光る赤い花が見える。

 まるで肉食の獣の口のように赤いその花は、こちらを狙っているように口を開いていて。

 「よくここに辿り着けたな、クロウズ」

 俺とアルトは、その場から飛び退き背後を振り向いた。

 そこには、ルースとミリィの姿があった。

 「ミリィ!」

 「クロウ?なんであなたがここに?」

 混乱している様子のミリィを横にルースがにぃっと笑った。

 「いつ尻尾を出すか待っていたぞ、アルベルト」

 「貴様……」

 アルトがぎりっと歯軋りをした。

 「お嬢様は?」

 「あの女は、今ごろパーティー会場で衛士たちにとらえられていることだろう。安心しろ。あれでも私の婚約者だ。傷つけたりはせん」

 「もと、婚約者だろう!」

 アルトが叫んだ。

 「大恩ある先代に刃を向けた裏切り者が!」

 「裏切られる方が悪いのだよ」

 ルースがにやりと口を歪める。

 「お前たちには、この花の贄になってもらおうか」

 ルースが手を上げようとするのをミリィが止めようとする。

 「お待ちくださいませ、ルース様!どうか、お許しください!」

 「黙れ!この愚か者が!」

 ルースがミリィを振り払いミリィの軽い体が崩れ落ちる。

 「あっ!?」

 その場に倒れ込んだミリィを冷たく見下ろしてルースが呟く。

 「少し感情を入れすぎたか……ただの人形のくせに!」

 ルースがミリィへと手をかざす。

 「お前には、感情など必要ない」

 「やめて!ルース様!」

 ミリィの悲鳴が聞こえて。

 そして。

 ミリィの瞳から光が消える。

 「しょせん、魔道具のくせに人の真似などするからこうなる」

 ルースは、座り込んだまま動かないミリィから視線を外すと俺とアルトを睨んだ。

 「さて……花につきまとう虫けらども。覚悟するがいい!」

 「覚悟するのはお前の方だ!」

 アルトが隠し持っていた短剣を抜きルースに斬りかかった。

 だが。

 アルトの剣は、ルースに届かない。

 「バカが!俺には、聖女の守護があるのだぞ?」

 ルースが不敵に笑う。

 「聖女に守られた俺に貴様の剣が届くわけがなかろう!」


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