13ー10 聖女の血?
13ー10 聖女の血?
俺は、ラザニエルさんと一緒に裏庭にある温室へと向かった。
冬でも聖女の花を育てられるように魔石を使って温室を暖められるようにしている。
温室の中は、寒い外から入ってくると少しムッとするほどに暖かい。
アネッサがいろいろな薬草を育てているんだが、その中の一角に赤いユリによく似た聖女の花が群れ咲いている。
あの騒動の後、俺は、もと聖女であるラザニエルさんに聖女の花を任せることにしたのだが、しばらくすると花が枯れそうになってしまったのだ。
それでどうすればいいかを魔鏡に訊ねた。
『簡単なことです』
魔鏡は答えた。
『この花は、クロウズ様の血で咲いたのですからクロウズ様の血を与えれば育ちます』
いやっ!
ちょっと怖いんだが!
しかし。
ラザニエルさんたちに頼まれて俺は、仕方なく指先をちょっと針で突いて一滴血を分け与えることにした。
すると瞬く間に花が育ち、増えてしまったのだ。
ラザニエルさんによると俺が今現在、もっとも聖女に近い存在なんだとか。
いやっ!
俺は、男だし!
今、その花が実をつけていた。
淡い光を放っているその実に俺は、困惑していた。
また、やっかいなものが!
「聖女の花の実は、聖女の力が込められたものなの。これを使えば死者をも甦らせることができるエリクサーが作れるわ」
ラザニエルさんの言葉に俺は、引きまくっていた。
そんなもの作ったら絶対に厄介事に巻き込まれるだろう?
俺が実を燃やそうと思っていると背後からアネッサが現れた。
「これがそのエリクサーだ!」
はいっ?
ぐるりん、と首を回して背後を振り向く俺。
満面の笑みを浮かべているアネッサ。
「まあ、すごいわね、アネッサ」
ラザニエルさんがにこにこしている。
ラザニエルさんに褒められてちょっと頬を赤らめているアネッサが自慢げに言う。
「これだけ聖女の花の実があればどこと戦になっても安心だな、クロウズよ」
「俺がどこと戦をするってんだよ?」
不満げな俺にラザニエルさんがふっと口許を緩める。
「もちろん、リトリアーナ子爵とよ」
「ロシナンテの?」
俺は、ぎょっとしていた。
ロシナンテの実家と戦争なんて縁起でもない!
「しませんから!」
「あら、残念」
ラザニエルさんがくすくすと笑った。




