2ー2 哀訴
2ー2 哀訴
翌日の早朝に俺とラザニエルさんがセフィール辺境伯家の屋敷へと向かって出発しようとしたとき、唐突にアネッサに呼び止められた。
アネッサは、思い詰めた様子で唇を噛んでじっと俯いていたがやがて俺とラザニエルさんに頭を下げた。
「どうかっ!私にお力をお貸しくださいませ!」
俺とラザニエルさんは、顔を見合わせる。
アネッサは、俺たち、というか主にラザニエルさんに訴える。
「精霊様に救っていただきたい者がいるのです!」
ラザニエルさんが困惑した様子で俺を見るので俺は、こくりと頷いた。
一応、アネッサには、世話になったわけだし。
ここであっさりとお断りするのも寝覚めが悪いし。
ラザニエルさんがアネッサに命じた。
「連れてきなさい」
「はっ!」
アネッサは、すぐに小屋を飛び出していくとしばらくして1匹の子犬を抱いて戻ってきた。
白い毛色のかわいい子犬だ。
「それは?」
ラザニエルさんが問うとアネッサは、答えた。
「私の子で、名は、ロリスと申します」
「いやん、めっちゃかわゆす!」
ラザニエルさんが子犬に手を伸ばす。
子犬は、ぐるる、と弱々しい唸り声をあげて軽くラザニエルさんの手に噛みつく。
「ぎゃっ!噛まれたしっ!」
「も、申し訳ございません!」
アネッサが子犬をかばうように抱き締めるとその場にひれ伏す。
「お許しくださいませ!まだ、分別のない子供のすることでございます!罰は、私が!」
「いや、その、あたしがいきなり触ろうとしたのが悪かったわ。ごめんね、ロリス」
ラザニエルさんがクルズを離れたところから覗き込むとロリスは、また低く唸った。
「これっ!ロリス!」
「いいのよ、アネッサ」
ラザニエルさんがちらっと俺を見た。
「それより……その子は、もしかして魔力過多なのではないかしら?見た感じ、かなり症状が悪いようだけど……」
「はっ!」
アネッサがラザニエルを涙で潤んだ瞳で見上げる。
「どうか、精霊様のお力でこの子をお助けいただけないでしょうか?」




