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第6話「同類、コミュ障、心当たり」

「……っていうか、私達以外にも人外っているのかしら」


「あー、どうなんだろ。あたしは会ったことないからな……」


「そうよね。ならミハネは──」


「私? そもそもレンカちゃん以外友達いないよ?」


「そうよね、ミハネはそういうやつだもの」



 夏休み最終日。


 実は大変なお嬢様のミハネの家でおやつを食べていると、レンカはそんなことを切り出した。


 


「そもそも人間が突然急に吸血鬼だのフランケンシュタインだのになることなんてある? あり得なくない? 常識的に考えて」


「なんか病院でも完全にイミフみたいなこと言われたしー」


「そう! 私もそんなこと言われた! この令和の世の現代医療でもお手上げとか……あ、そうよ! イヅモに送られてきたメールに何か手がかりあったりしないの!? ほら、ヴァンパイアがいるってやつ!」


「あ、これのこと?」


「もうびっくりするくらい捨て垢じゃない! ……よく考えたら垢って漢字汚いしマイナーよね。なんでこんなの当て字にしたのかしら」


「確かに……あかって言ったら赤色の「赤」だよね」


「そうよねそうよね!」



 ミハネはそのやり取りを五割の微笑ましさ、五割の嫉妬と共に見守っていた。


 すなわち「レンカちゃんに新しいお友達が出来て嬉しい」VS「私のレンカちゃんが私以外に笑ってるとか本当に許せない」、某ロボットアニメでAIに母の要素と女の要素を組み込んで大変なことになったことがあったが、まさにその状況なのだ。


 正直に言ってしまえば彼女の理想の世界はレンカちゃんと二人きりのポストアポカリプス。


 その欲望をかろうじて人間としての理性、健全な感情で縛り付けているのが徒花ミハネという少女である。



「……いやミハネって私以外友達いないの!?」


「すごい遅れてきたね、レンカちゃん」


「え、いや、マジでいないの!? いや、だって花の女子高生よ!?」


「私が女子高生であることと、私に友達がいないことは両立するよ。私、人間と話すの苦手だから」



 人間と話すのが苦手。


 人間と話すのが、苦手。


 二人は顔を見合わせた。



「何? プログラム的なコミュ障……?」


「人間縛りがそんな人間縛りなことあんだ……」


「残念ながらね」



 これっぽっちも残念ではない笑顔で言うミハネ。


 私の周りには面白い人間はいなかった、なんて高級カップアイスをパクパクしながら語る様は吸血鬼、フランケンシュタインとガチ人外の二人よりもよほど上位存在じみている。


 ちなみに普通にこじらせているだけである。



「……で、何の話してたんだっけ」


「えーっと……あ、そうそうあれよ、私達以外にも人外はいるのかって話」


「あー、どうなんだろ。あたしは会ったことないからな……」


「そうよね。ならミハネは──」



 全く同じやり取りを繰り返す二人に、僅かに天秤の健全な方が傾くミハネ。


 彼女はクスッと笑った後、「そういえば」と口を開いた。



「私、もう一人だけちゃんと話せる子いたかも」


「……え」


「待ってミハネ、マジで言ってんの?」


「うん。私、生徒会長とはちゃんと話せたんだ」



◇◇◇



「くしゅんっ……あらら、風邪引いちゃったのかしら──って、もうこんな時間!? 駄目ね、満月の夜はどうしても走りたくなっちゃうもの……」

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