第2章 転校生
――1週間後。
とうとう待ちに待った、編入初日。薫子は、緊張した面持ちで黒髪ウィッグと伊達メガネをつけ、完璧な変装で職員室へ向う。
その頃、2-A組教室内は賑わっていた。
「ねぇねぇ、聞いた!?今日転校生来るって!」
「聞いた!聞いた!どんな子かな?」
「イケメンかな?だったらどうしようー!!きゃー!」
「いや、女子だろ!美人だったら勝ちだわ!」
「おい!誰かどっちなのか聞いてないのかよ!」
「なぁ、夏樹はどっちだと思う?」
クラスの男子の1人が、窓際で外を眺めてる
猫みたいな茶髪の癖っ毛が目立つ、日向夏樹に話しかける。
「え?そりゃ、女子だったら嬉しいけどよ、どっちにしても仲良くなれそうだったらそれでいいよ」
「まぁ、そうだけどよ…」
――ガラガラッ
教室のドアが開き、教師が入ってきた。サバサバ系の女教師、鮫島幸恵だ。
「お前らうるさいぞ、席に着け」
全員がその声を皮切りに、一気に静かになりそそくさと席に着く。
「よーし。お前ら知ってるとは思うが、今日は転校生が来てる。入っていーぞ。」
鮫島先生に呼ばれ、教室の扉の前で待っていた、薫子は静かに入っていった。みんなが好奇の目を向けてくる。視線が痛い……心臓がドキドキなっているのを感じながら、恐る恐る先生の隣まで歩みを進める。
近くまで来たことを確認して、鮫島先生は
「よし。じゃあ、自己紹介を」
薫子は頷き、チョークで黒板に名前を書いた後、クラス全員に向き直る
「はい。えっと…藤田薫子と言います。皆さん、よろしくお願いします。」
薫の自信なさげな自己紹介を聞き、クラスメイトたちはヒソヒソと騒ぎ出した
「なんか思ってたのと違うね」
「うん、なんか……地味〜」
「大人しそ〜」
そんな騒ぎの中、夏樹は頬杖をつきながら薫子を見据え、小さく呟く
「…?どっかで見たか……?いや、初めて見るはずだし、第一、俺にあんな地味な知り合いなんていないはずだが…?」
「んあ?なんか言ったか?」
前の席に座っていた友達が、後ろを振り返りながら話しかけてくる
「いや、何でもない。…気のせいだろ……」
「そうか…ま、確かに美人じゃないのはガッカリだよな。」
小さくざわざわし始めた教室内。
「はい、はい、静かに。藤田は体があまり強くないらしくてな、体調不良になりやすいが仲良くしてやれよー。」
「「「はーーい」」」
大半は快く返事をしたが、何人かの不満ありげな声も混ざる。
「よし、とりあえず、空いてる席は……と。お、日向の隣が空いてるな。藤田、そこに座ってくれ」
薫子は頷き、指定された席におずおずと向かい、席に着く。
その様子を見た夏樹は
「ま、これからよろしくな。」
声をかけられた薫子は、少し驚きながらも、愛想笑いで答える
「はい、よろしくお願いします。」
――みんな、少しがっかりした雰囲気だったけど、滑り出しは順調っていったところかしら♪この調子で、友達もできたらいいな。
席に着いた薫子は、心の中でそう思い、期待に胸を膨らませた。
――新しいクラスの始まりだ




