第二章 第15話 『 臥虎藏龍 』
保健室から轟音と共に笑い声が反響した。
「アハハッ――」
アンタレスの笑み。
「この程度かッ!」
オリオンの矢を避け、紫苑の攻撃を軽く受け流す。
私は剣を構えなおす。
この剣を振るえば勝てると思っていた。
だが、甘かった。
この剣、光るだけで私の技量が上がるとかそんなのは無かった。
力が溢れるとか、そんなのは無かった。
「あかね嬢ッ!ボーッとするなッ!!」
オリオンの声にハッとする。
すかさず剣を構えるが遅かった。
黒い腕は既に私の肢体を捉えていた。
そのまま壁へと叩きつけられる。
「ガハッ……!!」
黒い腕に触れてっしまった。
ドクンッ
心臓が脈打つ。
「あーあ、やっぱつまらないな」
ドクンッ
「君、つまらないよ」
ドクンッ
「死んだ方が、マシだよ」
身体中に毒が回るのを感じる。
視界が歪む。
汗が止まらない。
鼓動が止まらない。
身体が熱い。
熱い、熱い、熱い熱い熱い熱い――
「ゲボッ……」
口からこぼれ出る血塊。
ぼんやりとした視界の中で、一人の少女の姿が目に映る。
白髪。
隻眼。
瞳に獅子座のマークが刻まれている。
これは――現実?それとも、幻?
少女が微笑む。
―――
何か言っている。
だが、何も聞こえない。
――たい?
何?
――勝ちたい?
勝ちたい、だって?
そんなの――決まっている。
私は――
「勝ちたいッ!!」
その瞬間、少女が満面の笑みを浮かべる。
――じゃあ、その身体借りるね
少女が身体に触れると、私の魂がスッと抜け出る。
――え?
「勝ちたいんでしょ?」
私がにやりと笑う。
そして――
視界が漆黒に包まれた。
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「はーあ、つまらないなぁ」
動かなくなったオリオンの身体を足蹴に紫苑の身体を甚振る。
「お前も威勢だけだったなぁ」
「ぐっ……」
「コイツも結局何もできなかったしなァ」
あかねの身体に目線を移す。
コイツは結局何もできなかった。
”あの人”がコイツを脅威だと言っている意味が分からない。
こんなゴミのどこに脅威が――
斬撃
咄嗟の攻撃に紫苑を掴んでいた手を放し、防御に徹する。
「誰――あぁ?」
目線の先。
そこにはさっきまで倒れていたゴミが。
剣を構えて立っていた。
「んー、久しぶりだなぁこの感覚」
瞳に獅子座のマーク。
「……そう言うことかぁ」
音を置き去りにし、ゴミの後ろに回り込む。
この攻撃にはついてこれていなかった。
これでおしま――
「僕が気がつかないわけないだろ?」
腕を掴まれる。
「君ってば本当に読みやすいよね」
「『レオニス』……ッ!!」
「覚えててくれたんだ、僕の名前」
レオニスは掴んだ腕を引き寄せ、そのままアンタレスのみぞおちに重い一撃を
食らわせた。




