ありす誤解解き大作戦!
どうも、サボり魔、にぃです。
またしても、期間を開けてしまいました。
大変申し訳ありませんでした。
その代わり今回も長めです。
それでは、本編スタートです。
夏が近づき、暑くなってきたころ。
放課後の学校の一室で、とある会議が行われていた。
その一室では、一人の男子が黒板に文字を書いていた。
タイトルは、『誤解解き会議』だった。
まくと「それではこれより、会議を始めます」
教卓に立っていたのは、まくと。
そして、たくさんある生徒席に、ぽつんと三人が。
ありす、のーる、まゆの三人。
まゆ「いきなり呼ばれたと思ったら、なんだよこれ」
まゆは、呆れながらつぶやいた。
まくと「そのまま。お姉ちゃんの誤解を解くってこと」
のーる「ざっくりですね」
まくと「みんな分かってるでしょ…?」
突如開かれた、会議。
当然三人には何も話されていないため、ざっくり説明されても、ピンとこないのは当たり前である。
まくと「えっと、要するにお姉ちゃんが学校では怖いもの扱いにされてるから、その誤解を何とかして解こうっていうこと」
まくとは、詳しく説明した。
ありすは、学校では悪い噂が多い転校生として知られている。
その理由は、転校初日のこと。
放課後に、まくとの中では友達であるゆばきが、まくとにお金をたかったことがありすの怒りを買うことになり、ありすはゆばきを吹っ飛ばした。
おかげでまくとは助かったが、結果的にありすが怖い生徒であるという噂が流れるようになってしまったのだ。
ありす「別に、私は気にしてないよ?」
まくと「いや、お姉ちゃんに『怖い』って言われてほしくない。僕の大切なお姉ちゃんだもん」
まくとは、頑固にそう言った。
しかし、その意気は本物だ。
しばらくの間、沈黙が続いた。
まゆ「…一理あるな」
しばらくして、まゆが反応した。
まゆ「俺のクラスでも、そういう噂が定着しつつある。友達として、放っておくなんてできるわけない」
のーる「そうですね。クラスにも馴染んでほしいです。ありすさんは悪くないので」
のーるも、頷いた。
ありす「えへへ…♪嬉しい♪ありがとう♪」
ありすは、頬を赤らめながらお礼をした。
まくと「で、どうすればいいと思う?みんな」
のーる「主催者も一つくらいは考えてください…」
のーるは、呆れながらそうつぶやいた。
まくと「う~ん、学校で困ってる生徒がいたら、ありすが助けてあげるとか?」
まゆ「安直だな。まっ、それが一番かもな」
のーる「決まりですね」
あっという間に意見がまとまった。
まくと「よし、じゃあみんなで絶対に誤解を解こう!」
ありす「お~♪」
こうして、ありすの誤解解き作戦が実行された。
—そして、その会議の次の日。
まくととありすの二人が、教室に向かっている途中にチャンスが訪れた。
廊下で、一人の女子が転んでいた。
よく見ると、膝元を怪我しているようだった。
まくと「お姉ちゃん…!今だよ…!助けに行ってあげて…」
まくとは、目を光らせながらありすに耳打ち。
ありす「おっけ~♪」
ありすは、笑顔で怪我をしている女子生徒に向かって歩き出した。
女子生徒は、ありすが近づいてきてビクッと体を震わせた。
ありす「大丈夫?」
ありすは、善意でそう聞いた。
しかし、女子生徒は震えが止まるどころか、さらに震えが激しくなった。
何も知らない女子生徒は、目の前にヤンキーとも噂されているありすが目の前にいるのだから。
さらに、ありすの笑顔が狂気に見えたようだ。
本人は、全く悪気はないのだが。
女子生徒「あ、あの…えっと、大丈夫です!ごめんなさい~!」
女子生徒は、逃げるようにその場を去っていった。
チャンスは、失敗に終わってしまった。
ありす「ありゃ、行っちゃった…」
まくとは、手で頭を押さえている。
まくと「やっぱり、悪い噂の印象操作が大きい…」
ありす「…私には難しいのかな?」
まくと「そんなことないよ!まだまだこれからだよ」
肩を落とすありすに、まくとは全力で励ました。
こんなことで、諦めるわけにはいかない。
ありす「ふふっ♪ありがとう♪大好き、まくと♪」
ありすは、まくとに抱きついた。
公の場であるのにためらいがない。
まくと「ちょ…ちょっとお姉ちゃん…!ここ廊下だって…!」
ありす「や~だ♪」
ありすは、全く離れる気がなく、教室までくっついたままだったのだ。
その後も、ありすの誤解解き作戦は続いた。
次に訪れたチャンスは、授業前。
一人の女子生徒が、頭を抱えていた。
女子生徒「あっ…今日の数学、定規いるのに持ってくるの忘れてた…」
のーるは、目を光らせる。
のーる「ありすさん、予備の定規はお持ちですか?」
ありす「うん、持ってるよ」
のーる「定規、貸してあげてください。きっと、印象が変わりますよ」
ありす「は~い♪」
ありすは、笑顔でその生徒に向かって歩き出した。
女子生徒は、ありすが近づいてきて、思わず一歩後ずさった。
ありす「はい♪どうぞ♪」
ありすは、善意で渡したつもりだった。
少なくとも、初対面が見れば。
しかし、噂を鵜呑みにしている生徒からすれば、たまったものじゃない。
女子生徒(もしかして…ここで貸を作って…後々…)
女子生徒は思わず身震いする。
女子生徒「だ…大丈夫です!他の人に貸してもらうので!」
そして、またしても逃げられてしまった。
ありす「あぁ…行っちゃった…」
ありすは、しょぼんと肩を落とした。
その姿だけ切り取れば、可愛いものだが周りからは欲しいものが手に入らずがっかりしている姿にしか見えなかったらしい。
のーる「失敗ですか…」
のーるは、頭を押さえる。
しかし、学校は長い。
チャンスはまたしてもやってくる。
次にやってきたのは、昼休み。
生徒たちがお弁当を並べて、頬張っていると。
女子生徒「あっ!メロンパン…落としちゃった…」
一人の女子生徒が、食べようとしていたメロンパンを落としてしまっていた。
お昼を一緒に食べようとやって来たまゆが、目を光らせる。
まゆ「ありす、これ…アイツに渡してこい…!」
まゆの手には、メロンパンが一つ。
ありす「えっ…?でも…それはまゆちゃんの…」
まゆ「俺が、アンタにあげたんだ。どうするかは好きにしろ」
ありす「あ…ありがとう!」
ありすは、急いで女子生徒の元へ。
女子生徒は、近づいてくるありすを見て、思わず身震い。
ありす「あの…これ、よかったら食べて?」
ありすなりに、工夫をした。
いきなりフレンドリーに突っ込まず、優しめに接した。
最初はビクビクしていた女子生徒も、少し震えが治まる。
女子生徒「い…いいんですか?」
しかし、そこにクラスメイトの男子がやってきた。
男子生徒「やめとけやめとけ。何入ってるか、分かんねえぞ?」
女子生徒「そ…そうだよね…」
まゆ「…ちっ、アイツ…!」
とんだ邪魔が入ってしまった。
せっかく、心を開きかけていたのに振り出しに戻ってしまった。
結局、どの作戦も失敗に終わり、放課後がやってきた。
ありすの元気は、明らかになくなっていた。
まくとは、隣で階段を下りながら励ました。
まくと「お姉ちゃん…元気出してよ。大丈夫、明日は絶対うまくいくよ…!」
しかし、まくと自身も元気がなかった。
ありすのことをまるで自分のことのように、引きずっているのだ。
ありすは、笑顔を作る。
しかし、その笑顔は魂が抜けたように弱々しかった。
ありす「大丈夫…♪無理しないで、普段と何も変わらないだけだから…♪」
まくと「そ…そんなの嫌だよ…!」
まくとが、声を張り上げた。
そのときだった。
まくと「…うわっ!?」
まくとは、階段の段を踏み外してしまったのだ。
床に向かって落ちていく。
階段から床までは、かなりの高さがある。
落ちたら、ただでは済まないだろう。
ありす「…!」
考えるよりも先に体が動いた。
稲妻のようなスピードで、階段を駆け下り、落ちてくるまくとを受け止めた。
間一髪、まくとはありすに抱きかかえられ、助かった。
その姿は、まるで王子様とお姫様のようだった。
配役は、間違いなく逆だが…。
ありす「大丈夫!?まくと」
ありすは、問いかける。
まくと「う、うん。大丈夫」
「……すご~い!」
どこからか、そんな声が聞こえてきた。
ふと周りを見渡すと、そこには、生徒たちの姿が。
「かっこいい~!!」「すげ~!!今の何だよ!!」「怖いだけじゃなかったんだ!!」
たくさんの生徒から、歓声を浴びせられる。
ありす「ふぇ…?」
まくと「えっ?」
こうして、思いがけない形でありすの印象は、怖いけど、優しくてかっこいいという印象に変わったのだった。
本日も、最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回もなるべく早めに頑張ります。
それでは、また次回。




