第一話 少女世界
処女作ですので大目にお願いします。楽しんで読んでいただけると幸いです。
橙色のアスファルトを背景にスマートフォンを眺めながら帰路を淡々と歩く。視覚とは異なり空気はやや冷たく、冬用のセーラー服の上から羽織った黒のパーカーが、それを感じさせまいと奮起している。
途中、一人の老婆が向かいから歩いてきた。(少し意地悪してやろう。) そう思ってわざとそれにぶつかってみた。老婆は謝った。自分が悪くないのは明確なのに、それでも謝る老婆は心底不快だった。私は老婆に言った。
主人公『ちゃんと前見て歩けよ。』
言った本人であっても、この台詞には"呆れ"以外の感情は湧いてこなかった。やはり老婆は謝った。私は早歩きでその場を立ち去ろうとした。
???『君、四組の 近都海〔ちかど うみ〕さんだよね。』
肩を掴まれた。
近都海『あぁ?』
先の不快感をぶつけるように、荒々しく、私はそいつを睨みつけた。肩を掴んできたのは一組の 対馬勇気〔つしま ゆうき〕という男子生徒だった。その隣には同じく一組の 加藤立華〔かとう りっか〕、後方ではやはり一組の 鈴木蓮〔すずき れん〕、西岡 春香〔にしおか はるか〕が老婆に謝罪をしていた。
対馬勇気『そういう態度は良くないと思うぜ。明らか歩きスマホしてた君の方が悪いだろう!』
加藤立華『私もそう思います!そ、そういうあたりっぽいのは、、、いけないと思います!!』
不快だ。この善人気取りも、気弱な老婆も。そして思春期の私は、容易くその不快感を怒りとして対象にぶつけた。
近都海『うっせえなぁ!!何様なのあんたら!先に謝ってきたあいつが悪いんだろ!!』
完全な逆ギレ、その怒号は周囲の通行人の視線を更に集める。自分の情けなさもいっそう強く感じられる。
近都海『てか。勝手に触ってんじゃねぇよ!この、偽善者が!!』
瞬間、正面の彼を中心に、夕焼けに輝くアスファルトよりも更に眩しい光線が、そのアスファルトの上に這うようにして広がる。まるで夏の花火のように、魔法陣は展開された。そして私を浮遊感が襲う。
果てしなく広がる薄暗い亜空間。
芝生の青臭い匂いで目が覚める。私は大森林に一人だった。すぐ縁の開けたところは崖になっていて、そこからは延々と連なる山々が眺望できる。私はそれをもって強い混乱に陥った。
崖下から飛び出してきたドラゴンはその混乱をいっそう激しくさせた。おおよそ三階建の建物と同程度の大きさで、体表は白く輝く鱗に覆われている。獣のような顔はそれとの相違を感じさせ、その不気味は増す。怯えた私は声すら出せず、ただそれを、その目を見ていた。本能で。数秒見つめ合う。そしてドラゴンは飛び去った。
半刻程動けなかったが、ようやく落ち着きを取り戻した私は、フードを深く被り、背後の森に足を踏み入れた。
森は奇怪そのもので、巨大なキノコや謎の植物が生い茂り、毒々しいパステルな色合いは、何かの中毒に犯されているようだった。
一体の何かに出会った。宙に浮くそれはまたしても純白で、アオダイショウのように細長く、宝石のような瞳を三つ頭部に備えていた。私はひどくそいつに懐かれた。孤独の私はそれに ホタル と名付け、同行させた。
小川のほとりで一晩を過ごした。ホタルはとても暖かく、恐怖以外の不快はその晩、感じずに済んだ。
初めの崖のところに一度戻ってみることにした。あまりに森側に人の気配がなかったので、一度辺りを見回すことにしたのだ。
背後から異様な気配を感じる。その禍々しさは人生初と言っても過言ではなく。その強大さは先刻のドラゴンを大きく上回っていた。振り返る。
乾いた皮膚、背後の大翼、うねる尾、かろうじて人型を保つそれの顔面には大きな黄金色の瞳が六つ。
私は必死を悟る。
一話ってどんぐらいのボリューム感かわからないですね。第二話 出会い も後日投稿するので、是非見ていってください。




