第八章 マオウの点滴
翌日――。魔王城のベッドの上で、マオウは完全に衰弱し、青白い顔で点滴を打たれていた。まさに『マオウの点滴』である。
そこへ、新たな包帯を全身に巻いたセバスが、一枚の輝かしい通知書を持ってトボトボと歩み寄ってきた。
「マオウ様…吉報がございます」
「……なんだ、申してみよ」
「我が軍は包帯ネット通販で、最高峰の『ダイヤモンド会員』に昇格いたしました!!」
「おお……っ! ダイヤモンド会員とな! それは凄い!」
マオウは点滴に繋がれた手を震わせ、一縷の希望を見出すように目を輝かせた。
「それで、何かメリットはあるのか!?」
「はい! 今後はなんと、全ての包帯が5%の割引になります!」
「…………」
沈黙の後、マオウの怒りの咆哮が病室に響き渡った。
「なにぃぃぃぃぃーーーっっ!!! ダイヤモンド会員でも、たったの5%しか引かんのか!!! そこ、なんとかならんのかー!」
「すみません、それ別の場所でやってもらえます?」
ヒショカが冷ややかな目で点滴の管を交換する。マオウはガクッと枕に頭を沈め、悔しそうに布団を握りしめた。
「ぐぬぬ……ちゃすけ、恐るべし……! なんという敵だ、完敗だ……!」
「今回のは自滅です。ちゃすけ関係ありません」
松葉杖を突いたヒショカが真顔で至極真っ当なツッコミを入れたが、マオウの耳には届かなかった。
横には、どこかへ電話を掛けながら怒っているセバスの姿があった。
「もうちょっと何とかなりませんかね~。なに?言い回しが古くてダメだ?そこは大目に見てくださいよ」




