第一話 突撃はつらいよ④
寅二郎たちが息を顰め“今”を待ち、レオン率いる帝国軍が陣を再構築し蠢いているのをベルゼはコルダ丘陵の頂で眺めていた。
アイスロック将軍が報告する。
「“戦鬼部隊”以下帝国方面軍、準備は完了しております。
帝国は何やら“隠し玉”があるようですが蹴散らして見せましょう」
「ふむ、意気軒高なのは重畳。きっかけは任せる」
「は、奴らを“血祭り”に上げてやります」
(どうしたトラジロウ、“祭り”が始まるぞ。
まさかシンデレラが如く遅れて踊りだしたいわけでもあるまいに……)
ベルゼは目を細め、“因縁”が姿を見せるのをただ、待っていた。
一方、リ・エスティーネ王国国王レオニス四世はついに動き出した。
アンナたち《暁の翼》を呼び出し、王命を下した。
「お主たちには帝国へと赴いてもらう」
「いよいよですか」顔を上げアンナが応える。
帝国の不穏な噂、魔族との関係、各国への武器輸出、遺跡での“遺物回収”。あくまで全て噂だがエルザの報告を読み、これ以上帝国を自由にさせるわけにはいかない。レオニス四世はここで釘を刺す意味で“勇者”というカードを切る。
「あくまでお主たちは“陣中見舞い”
しかし、皇帝レギウス三世に問え奴の“正義”を
そして、見極めよ、それが“我ら”の正義であるのかを」
「は、しかと王命承りました」アンナたちは準備へと歩き出す。
(大陸を割るわけにはいかん、カミシロアンナよ。頼んだぞ)
アンナたちを見送るレオニス四世の眉間には深い溝が刻まれていた。




