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異世界千夜一夜  作者: 大西平洋(ヘイヨー)
~テーラやサルサラの物語~
307/1003

~第306夜~「予言者と鬼の娘テーラ(その3)」

 予言者と鬼の娘であるテーラは、「薬草使いの少女ミーシャ」「ミーシャの祖父のサフル」「ギャンブラーの青年モカメル」の3人をお供に旅に出ます。

 老人のサフルは体力にとぼしく休んでばかり。4人が休憩していると、謎の影が近づいてきました。


「アレは何?」と、思わず声を上げるミーシャ。

「ウ~ン…鳥のようだが、それとも違うような…」とモカメルも首をひねりました。

 影の主は上空を飛行しており、グングンとテーラたちに近づいてきます。すると、その影は段々大きくなって、やがて人間のような形になりました。

「キャ~ッ!」と悲鳴を上げて後ずさりするミーシャ。一方で、モカメルは冷静に相手を観察しています。

「なるほど…アレは魔物の一種だな。恐らく、オレたちをエサとして狙っているのだろう」

「え!?エサって、アタシたちを食べるの!?」と、ミーシャはますますおびえます。

 そうこうしている内に、狙いを見定めたようで一点を狙って急降下してくる魔物。今ならば、その姿がハッキリと認識できます。両手の部分が(はね)になっている鳥人間です。


 その瞬間、サッと前に出てきたのは、さっきまでヘロヘロで休んでばかりいたサフル。

「下がっていなさい」と、老人は杖を構えると、杖の先から炎の球を発射しました。


 ド~ン!という大きな音と共に火球に衝突する鳥人間。燃えながら方向を変え、テーラたちから数メートル離れた地面へと激突します。

「フゥ…危ないとこじゃったな」と、額の汗をぬぐうサフル。

「キャ~!おじいちゃん、かっこいい!」と、飛び跳ねながら喜ぶ孫のミーシャ。

「じいさん、実は強かったんだな…」と、ギャンブラーのモカメルも感心します。


 3人の(あるじ)であるテーラは、腕組みをしたままウンウンとうなずきながら、「やっぱりアナタを選んだ私の目に狂いはなかったわね」と満足げに微笑むのでした。


         *


 北へ北へと進んでいき、その日の内に隣村へと到着した4人。

 さっそく乗り物の調達にかかります。


「ねえ、おじいちゃん。どういうのがいいかな?」と、孫のミーシャ。

「乗り物と言ってもいろいろあるがねぇ。そこのご老体が乗るのかね?」と、村の住人がたずねてきます。

「えぇ、そうなんだけど。どうせだったら、私たち全員が乗れる方がいいかな?」と、答えるテーラ。

「それじゃったら、やっぱり馬車かのう」と、魔法使いのサフルが言います。

「馬車ねぇ。それだと結構金額が張るが大丈夫か?」と、村人。

 この時代、外の世界から機械文明が導入されつつあり、この辺りの地域でも自動車やバイクが走り始めていました。それでも、自動車は高級品で、多くの農民たちはいまだに馬や牛に頼っています。

「まあ、お金なら持ってるけど…あまりいっぺんに使ってしまうと、このあとの旅で節約しないといけなくなるわね」と、テーラは首をひねって考えます。

「それなら、アレなんかどうだ?ちょうど今朝入荷したところなんだ」と、商人らしき男が指差したのは、1台のオープンカーでした。

「アラ!素敵じゃない!」と、目を輝かせるテーラ。

「フム…確かに、あの車なら全員乗れそうだ」と、モカメルも同意します。


 けれども、オープンカーは目が飛び出るほど高価で、しかも誰も運転免許を持っていなかったので、あえなく断念することに。

 結局、「人生はギャンブルだ!こういう時にケチるもんじゃない!」というモカメルの一言で、ホロつき馬車を購入することに決めました。


         *


 ホロ馬車を手に入れた一行は、西部開拓時代のアメリカよろしく、旅を続けます。

「おかげで、しばらくの間は節約生活よ!」

 リーダーであるテーラの号令で、緊縮財政が敷かれることに。

「トホホ…3食おやつ付きのノンビリ生活だと思ってたのに、早くも前途多難だぜ…」と、モカメルはガッカリ顔。

「こうなると、なんらかの方法で金を稼ぐしかあるまい」

 サフルの提案で、4人はそれぞれ金策に走ります。


 まず、最年少の少女ミーシャは、道中で目ざとく薬草を見つけては摘み取っていき、街に着くと売りさばいて小金を手にしました。

 祖父のサフルは得意の魔法を披露して、行く先々で大道芸よろしく客を集めておひねりをもらうことに成功!

 鬼の娘テーラは、お嬢様育ちなので何もできません。

 それでもモカメルに比べると随分とマシでした。街のカジノに入りびたりで、ルーレットやらポーカーやらに手を出すのですが、ことごとくお金をスッてしまい、すっからかんに!お金は増えるどころか減るばかりです。

「アンタねぇ…ギャンブラーのくせに、なんで軍資金を減らしてンのよ!」とテーラに激怒される始末。

 それでも、モカメルは平然と答えます。

「なぁ~に。賭け事ってモノは“流れ”があんのよ。今はちょいとツイてないだけさ。今に大きな流れが来て、ド~ン!と儲けてみせるって!」と、この調子です。

「そんなコト言って、またスッテンテンになるのがオチでしょ」と、テーラはあきれるばかり。

 …とまあ、いろいろありながらも、それなりに平穏に愉快に旅は続きます。

 そして、ひときわ大きな街へと到着した時のコトでした。


 さて、この続きは、また明日の夜に語るといたしましょう。

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