表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『王女に裏切られ追放された元婚約者の俺は、絶望の果てで手にした邪眼の力で王女に復讐することに決めた』  作者: ポプラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/9

第二章 街道の異変 ―堕ちゆく白銀のプライド― 1

 いつの間にか雨がやんでいた。


 王都の威容が遠ざかり、街道を囲む木々の影が長く伸び始める頃、リンドの加虐心はより剥き出しのものとなっていた。


 人目がなくなったことを確認した彼女は、馬の歩みを緩め、後ろを徒歩で付いてくるカイルを振り返る。


「……遅いぞ、無能。私の馬の歩調に合わせろと言ったはずだ」


 リンドは背後を歩くカイルめがけ、手元の鞭を無造作に振るった。


 ひゅんっ!


 鋭い風切り音と共にカイルの頬に赤い筋が走る。


「……っ!」


「おや、避けないのか? ああ、貴様にはこの鞭を避ける魔力すらないのだったな。はぁ……ウォーカー家の名が泣くな」


 彼女は馬を止めると、優雅な動作で地上に降り立った。


 身にまとう白銀の鎧がカチャリと冷たい音を立てる。


 彼女は泥まみれのカイルに歩み寄り、その胸ぐらを掴むと、そのまま勢いよく近くの大樹へと叩きつけた。


「……ぐっ!」


「貴様の処遇は、殿下から私に一任されている。国外追放などしなくても、ここで貴様の心を完全に折って、ただの動く肉塊にしてから国外に捨てて行っても何の問題はない」


 大樹に背を預けているカイルに近づいてくるリンドの瞳は、獲物を追い詰めた肉食獣のように爛々と輝いていた。


「それとも……いっそここで死ぬか?」


 彼女はカイルの喉元に、腰元から引き抜いた冷たい小剣ダガーの切っ先を突き立て、もう一方の手でカイルの股間を乱暴に掴んだ。


「ぐっ」


「……ふん、情けない。命の危機だというのに、こんなところだけは一丁前に熱くなっている。やはり貴様は性欲だけで動く家畜だな。恥を知れ!」


 このときリンドは気づいていなかった。


 カイルの右目が今や彼女の魂の深部を暴き出していることに。


(『視える』、視えるぞ、リンド。お前の心の奥の欲望が。俺には手に取るようにわかる)


 カイルの視界には、リンドの白銀の鎧は霧のように透け、その奥にある「紋章」が鮮明に映し出されていた。


 先ほどまで黄金色だったその模様は、彼女がカイルを痛めつけ、辱める言葉を吐くたびに、内側から熱を帯びたような『濃いピンク色』へと変色を始めていた。


 カイルの右目に、ゆっくりと文字が映る。


【対象:リンド・ブラッドレイ】


【紋章:処女のヴァージン・シールド/黄金色】


【深層心理詳細:対象は男のプライドを汚し、へし折ることで自らの清廉さを保とうとしている。だがその本質は、汚した男から受けるかもしれない逆襲を想像し、自らの気高さが泥に塗れる瞬間を切望している。加虐心に隠された被虐心を発見。対象は男から虐げられることを切望している】


 その文字を読んだカイルは、


「くくく」


 と、リンドに喉元に刃を突きつけられながら低く笑った。


「……何がおかしい」


「リンド。君、さっきから随分と饒舌だな」


「……何だと?」


「自分で気づいていないのか? 俺を罵るたびにその綺麗な喉が、生まれたての小鹿野ように震えていることに……その白銀の鎧の下に隠された君の本心。君が俺に触れるたび、俺に乱暴な言葉を投げつけるたびに、まるで欲情した獣みたいにドクドクと脈打っているのが見えるぞ」


「なっ!」


「リンド、君は俺を虐めたいんじゃない。むしろ、俺に虐められたいんだろう? 男に乱暴に扱われ、ぐちゃぐちゃにされ、家畜のように扱われることを望んでいるんだろう?」

読んでくださってありがとうございますm(__)m


さて、白銀の騎士が「わからせられ」てしまいます。


感想、いいね、ブックマークなどしていただけたら励みになりますのでよろしくお願いいたしますm(__)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ