第一章 断罪の演習場 ―灰色の空と冷たい雨― 4
(これは……)
リンドの内股付近で明滅を繰り返すその紋章。
そして右目に浮かび上がってきた文字を見たカイルは、
「……あは、あははは!」
突如として笑い声をあげた。
「……何がおかしい。気でも狂ったか?」
突然笑い出したカイルにリンドがそう尋ねる。
「くく……いや、狂ってはいないさ。ちょっと面白いものが『視えて』ね」
「ふんっ……そうやって笑っていられるのも今だけだ。殿下から命じられた貴様に対する道中での『教育』。それを受けたら、もう笑ってなぞいられなくなるからな」
「……ふふ、そうだねリンド。君が望む『教育』とやらを、たっぷり味わわせてもらうことにするよ」
「ふんっ!……死に際まで減らず口を」
リンドは忌々しげに引きずっていたカイルを手放すと、そのまま蹴り飛ばした。
「ぐっ!」
腹部を蹴り飛ばされ、ぬかるんだ泥道にぐちゃりと背中から倒れこむカイル。
「これから国外へ向かう。そのまま近隣の村々の巡視にも行くことにしよう。あぁ、貴様はもちろん徒歩だからな。私は馬に乗るが、せいぜい引きずられないよう必死こいて走れ……しばらくそこで待ってろ、馬を持ってくる」
そう言い残し馬小屋へと向かうリンドの背中を見つめながら、カイルは右目の熱を静かに、だが深く、自らの血に馴染ませていった。
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さぁ、復讐が始まります。
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