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アインス→ソフィア 5

 シンディ、今は妃殿下と婚約解消してからは気持ちも整理出来ている。

 妃殿下とマシュー殿下が初めて会った時、恋に堕ちたのが分かったからだ。

 俺は彼女の事が本気で好きだった。

 彼女も同じ気持ちだと思っていた。


 が、実際は簡単に解消される程度だったんだと思い知らされたのは、彼女からの一言だった。


「殿下からの申し入れを、断る事は出来ないもの」


 従兄弟のライには心配されたが、俺はワザと殿下の側にいるんだ。

 決して彼女の事が忘れられないからではない!

 殿下の側にいれば、高位貴族の令嬢と知り合えるキッカケがつかめるからだ。

 それなのに・・


 (なぜ俺があんなパッとしない女と・・)


 正直言って妻の顔は覚えていない。

 初めて会った時も、結婚式の時も下を向いていたから印象に残らなかった。屋敷にも帰るがいつも妻が寝ている時間を狙い、屋敷を出るのも朝早いため挨拶どころか顔も合わせない。


 完全なる[白い結婚]だ!


 カイの言う通り、彼女に対して罪悪感が無い訳でもない。彼女も決して望んで結婚した訳では無いからだ。


(言い訳かも知れないが、下手に手を出せば彼女も再婚しにくいからな・・)


 そう思っていた時、夜会で美しい人を見かけた。

 ライがエスコートしていた令嬢だ!

 雰囲気からして、まだ独り身だと思い声を掛けるタイミングを狙った。

 思った通りの人だった。

 話し掛けると恥ずかしそうに俯いて、その仕草が男心に火を付ける事をライは教えた方が良い。


「いや、そんな彼女を俺好みに育てるのも良いな」


 クローザ伯爵家の夜会が楽しみだ!




「と言う訳で十日後にクローザ伯爵家で開かれる夜会に、ライリーと出席して欲しい。」


 夕食後、部屋で本を読んでいるとお義母様が呼んでいると言われ通されたのは、お義父様の執務室だった。

 入るとそこにはお義母様と、ライリー様も居た。

 わたしはお義母様の隣にすすめられ腰掛ける。


「あの・・旦那様とでは無くて、ライリー様とですか?」


 恐る恐る聞いてみると三人が同時に頭を縦に振る。

お義母様いわく、何かの様子を見るため・・だそうです。わたしは嫁だから家主であるお義父様の言う事は絶対だ。


「ライリー様がご迷惑で無ければ・・」

「私は嬉しいですよ!着飾ったソフィア様をエスコート出来るんですから。」

 

 すごい笑顔で言われ慣れていないわたしは、ライリー様の笑顔に胸がドキドキしてしまう。


「では十日後にお迎えに上がります。おそらくアインスは・・出席するとしてもこちらには来ないと思いますので。」


 そう言い残しライリー様は帰って行った。

 旦那様がいる身で、他の男性のエスコートで夜会に出る。

 実家の両親が聞いたら倒れるだろうなぁ・・と思いながらも、心の何処かでまたライリー様と出席出来るのを嬉しく思っている自分が居る。


(何だか浮気をしているみたいだわ・・)


 そう!わたしには夫がいるのだ!

 結婚してから一度も顔を合わせない夫が・・

 差し入れをしても、手紙を出しても一度も返事をくれない旦那様・・

 

(何故わたしが選ばれたのか・・お義父様、お義母様には良くして頂いている。でも旦那様はどうして結婚されたのだろう・・)


「私には忘れられない女性がいる。」


 あの日ハッキリと言われた言葉。

 高位貴族からの申し入れに断れなかった我が家。

 愛されないと諦めて結婚したのに・・


(ああ、わたし寂しかったのだわ。)



 その日の夜・・わたしは夫婦の寝室で一人枕を濡らした・・


 



 

アインスは屋敷に帰ってはいるが、決してソフィアとは顔を合わせない様にしていました。

この事は侯爵夫婦も知っていたが、二人の問題だからと敢えて何も言っていませんでした。

が、あまりにもソフィアを無下にしていた為、夫人が動き出したのです。

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