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残念ですが、あなたが愛したのは妻であるわたしです。  作者: おつかれナス


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8/16

ソフィア 6

 クローザ伯爵家、夜会当日。

この日もわたしは昼過ぎから準備に追われた。

 さすがに王宮での夜会では無いので、前回に比べたら準備も楽だった。

 今回はお義父様、お義母様は欠席のようだ。


 準備が整うとアンから


「ライリー卿がお見えになられました。」


 と言われ、玄関ホールへと移動する。

 そこには眩しい笑顔で立つ、王子様バリに着飾った美しいライリー様がいた。

 わたしはその笑顔に胸が締め付けられながら階段を降りようとする。


「ソフィア様、そこでお待ち下さい。」


 そう言うと同時に階段の上まで来たライリー様は、さりげなくわたしの手を取ると完璧にエスコートしながら階段を降りた。


「それでは叔父上、夫人。大切な若奥様をお借りします。」


 頭を下げる姿に胸が苦しくなる。


「お義父様、お義母様行って参ります。」

 

 胸のドキドキを抑えて礼をすると、お二人は玄関の外まで見送ってくれた。



 クローザ伯爵邸に到着するとライリー様のエスコートで会場へと入る。領地にある山から珍しい鉱石が採掘されているせいか、見るからに裕福だとわかる。


 会場内に使われているシャンデリアは隣国から特別に輸入された物だろう。この国では使われていない石がはめ込まれている逸品だ!


「フィア、喉が渇きませんか?これはレモンの果実水だから口の中がさっぱりしますよ。」


 ライリー様から


[アインスには私がソフィア様に求婚していると説明しておりますので、暫くはフィアと呼ばせてください。]


 と言われた。


「ありがとうございます。緊張で喉が渇いておりましたの。」


 ライリー様から手渡されたグラスを口に付ける。

レモンの爽やかな香りが鼻から抜けると同時に、口の中もサッパリする。


「美味しいです。」

「それは良かった。あちらのデーブルにも美味しそうな料理が並んでいました。」


 クスクスとわたしが笑い出す。

どうしました?と顔を傾けるライリー様の仕草が可愛くて、更に笑みが溢れてしまう。


「前の夜会の時もライリー様は料理を取りに行かれてましたがわたし、そんなに食べそうに見えますか?」

「えっ?そうでしたか?いえ、フィアはもう少し食べても大丈夫かと・・」


 焦る姿も可愛らしく、もっと虐めたくなってしまう。すると曲が流れ出した。


「フィア、私と一曲踊って頂けますか?」

「よろこんで。」


 ライリー様の手を取りホールまで歩いて行く。

曲は少し激しめだがライリー様が上手くリードしてくれるので踊りやすい。

 踊りに夢中で旦那様の視線に気付かなかったわたしは、この後すごく後悔する事になった。


 二曲踊ったあとライリー様は飲み物を取りに行った。わたしは身体を冷やすためバルコニーにあるベンチに腰を掛けている。


(ああ楽しかったなぁ。ライリー様は何をしても素敵で、独身の女性からの視線も凄かったわね!)


 きっと今頃は女性たちに囲まれているでしょう。


「わたしと違って独身ですもの・・」


 ポツリとつぶやいた、その時


「またお会いしましたね、お嬢さん。こんな所に一人で居ると危ないですよ?」


 無意識に身体が緊張する。だってこの声は・・


 ゆっくり顔をあげると、両手にグラスを持った旦那様が立っていた。

 ハイっ、と手渡してきたグラスを受け取るも口に付ける勇気は無かった。


 (バレた?)


 そう思って下を向くと、旦那様はわたしの隣に腰を降ろした。


「あの、わたくし人を待っておりまして・・」


 何とか声を出す。

 すると旦那様は笑い出して、


「君のパートナーはライリーだったかな?彼なら当分こちらには来られないと思うよ。女性たちに囲まれていたからね。」


 手に持っていたグラスに口を付ける。おそらく中身はワインだろう。

 ゴクッゴクッと喉を鳴らしながら飲んでいる。


「あの・・?」


 と、声を掛けると同時に手を掴まれる。

 ビックリして手を引っ込めるも強く握られている為、外せない。


「貴女と話がしたくてライにお願いしたんですよ?」

「わたしと・・ですか?なぜ?」


 旦那様はわたしが妻だと気付いていないのか、更に顔を近づけて来た。

 そして、


「貴女に興味を持ちまして、二人でお話がしたかったんですよ。」


 と言ってきた。

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