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紫電の救世主 〜蒼雷の使い手、努力の果てに最強の雷帝へ。相棒の黒炎を救う神速の一閃〜  作者: 九十九夜


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# 第6話 爆速昇級

 3年目の春、葵、蒼真、結衣は正式に冒険者ギルドへ登録した。


 初めて手にする依頼票、初めて袖を通す冒険者用の服。緊張と高揚が入り混じる中、三人は最初の依頼へと向かった。


「よし、初仕事だな」


 蒼真が依頼票を確認しながら、いつも通り淡々と言う。


「討伐対象の魔物の生態は事前に調べておいた。遭遇率九割で東側の森だ」


「蒼真くんは相変わらずだね」


「準備は裏切らないからね」


 結衣が扇を軽く広げながら微笑んだ。


「私は皆さんの盾になりますから、安心してください」


 葵は刀の柄に手をかけ、小さく息を吐いた。


「行こう。これが、私たちの新しい一歩だから」


---


 その一方で、光月律の名前は、ギルドの中で瞬く間に伝説めいた響きを帯び始めていた。


「聞いたか、あの光月って新人。入団して三ヶ月でAランクだとよ」


「単独指名依頼の成功率、ほぼ十割らしいぜ。あの九重家の御令嬢の派閥からも、目をつけられてるって話だ」


 九重鳴依という名も、上位ギルドの間で既に轟いていた。名門の名に恥じぬ実績を重ね、若くして高位ランクへと駆け上がっているという。


 葵はまだBランク。地道な依頼をひとつずつこなし、着実にではあるが、律や鳴依のような煌びやかさとは無縁の歩みだった。それでも、噂話が耳に入るたび、誇らしさと、ほんの少しの寂しさを同時に感じていた。律とは既に別行動が増え、顔を合わせる機会も減っていた。


 そんな折、とある討伐依頼の現場で、葵たちは偶然律と鉢合わせた。


「先輩」


「律くん……! 久しぶり」


「はい。お互い、忙しくしていたようですね」


 律は以前より、少しだけ大人びた表情をしていた。


「先輩の噂も聞いています。Bランク昇級、おめでとうございます」


「律くんの方こそ、もうAランクなんでしょ? 噂で聞いてびっくりしたよ」


「まだまだです。……先輩に届くには」


 律は柔らかく笑った。以前の、どこか浮世離れした無表情とは違う、確かな自信に裏打ちされた笑みだった。


「そういえば、九重先輩の名前もよく聞くよ。もうAランクの中でも、かなり上の方だって」


「先輩と同じ雷属性ですね。……いつか、お三方で並んだところを見てみたいです」


 律の何気ない一言に、葵はふと、あの試験場での圧倒的な黄雷を思い出した。あれから一度も、鳴依とは顔を合わせていない。


 二人はしばらく、近況を語り合った。互いの成長を確かめ合うような、穏やかな時間だった。


---


 律と別れた後、葵はギルドの掲示板に立ち寄った。新しい依頼票に目を通しながら、次の仕事を探す。


 その時、一枚の依頼票が目に留まった。


「――東部辺境にて、正体不明の『黒き炎』の目撃情報多数。調査及び対処、急募」


 黒き炎。


 その一文を見た瞬間、葵の中で何かが凍りついた。


 まさか。


「……煉、くん……?」


 依頼票を握りしめる手が、小さく震えていた。


---


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