# 第24話 鋼鉄の亡者、要塞と化す
「これで、終わりじゃない」
ヴォルケナーの声が響いた直後、要塞全体が激しく振動し始めた。
「葵、逃げるぞ! ここにいたら、巻き込まれる!」
煉が、葵の手を強く引いた。二人は、崩れゆく通路を全力で駆け抜けた。
背後で、鋼鉄が軋み、変形する音が響き渡る。ヴォルケナーが接続された要塞の中枢が、まるで意思を持った怪物のように、その姿を変え始めていた。
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要塞の外へ脱出すると、そこには既に仲間たちが集まっていた。
「葵!」
「先輩!」
律、蒼真、結衣が駆け寄ってくる。東側からは鳴依が、後方からは魁も、状況の異変を察して馳せ参じていた。
「煉さんも……!」
結衣が、驚きと喜びの入り混じった声を上げた。
「久しぶりだな、みんな」
煉が、白く輝く手甲を掲げてみせた。
「詳しい話は後だ。今は、あれを見てくれ」
葵が振り返った先――要塞全体が、まるで生き物のように歪み、巨大な人型の輪郭を形作りつつあった。
鋼鉄の巨躯。無数の砲門と、異形の魔導回路が全身を覆う、まさに悪夢のような姿だった。
「あれが……ヴォルケナー……!?」
鳴依が、絶句した。
「要塞そのものを、器にしやがったのか……」
魁が、大剣を握る手に力を込めた。
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「私が、この最終計画の完成形だ」
巨大な鋼鉄の身体から、ヴォルケナーの声が、地響きのように轟いた。
「不完全な被験体どもとは違う。私自身が、完璧な兵器となったのだ」
「気持ち悪い野郎だ……!」
魁が吐き捨てるように言った。
「今度は、全員で行く」
葵が、仲間たちを見渡した。
「一人じゃない。ここにいる、みんなで」
「もちろんです」
律が頷いた。
「僕らの全力を、見せましょう」
「作戦を伝える」
蒼真が、素早く指示を飛ばした。
「鳴依、魁は前衛で攻撃を集中。律は光で弱点を照らし出せ。結衣は全員の盾になってくれ。……葵と煉は、隙を作った瞬間に決定打を」
「わかった」
全員が、それぞれの得物を構えた。
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「いくぞおおおっ!!」
魁が、真っ先に巨躯へと突撃した。大剣が、鋼鉄の装甲に叩きつけられる。
「硬いが……通じねえわけじゃねえ!」
「私も!」
鳴依の黄雷が、大河のように広がり、ヴォルケナーの巨体を薙ぎ払う。
だが、ヴォルケナーは怯むことなく、無数の砲門から一斉に攻撃を放ってきた。
「結界を、張ります!」
結衣の広域結界が、降り注ぐ砲撃を辛うじて防ぐ。
「先輩、あそこ! 装甲の継ぎ目に、僅かな歪みが!」
律の八咫光鏡が、巨躯の一点を照らし出した。
「見えた!」
蒼真の長槍が、その隙を狙って突き込まれる。だが、巨体の反撃は苛烈で、決定打には至らない。
「くっ……! なかなか、崩せないな……!」
蒼真が、歯を食いしばりながら後退した。
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「葵、俺たちの出番だ」
煉が、葵の隣に並んだ。
「うん」
葵は、雷切・建御雷を強く握りしめた。
これまでの全ての戦い、全ての絆、全ての想い。それら全てが、この一戦のために積み重ねられてきた。
「二人の力、合わせよう」
「ああ。……ようやく、本当の意味で」
紫電と白炎。二つの力が、互いに呼応するように、微かな光を帯び始めた。
その時、鳴依が渾身の一撃を叩き込み、魁の大剣がそれに続いた。二つの攻撃が重なり、ヴォルケナーの巨躯に、わずかながらも確かな亀裂が走った。
「装甲に、隙が……!」
律の声が響く。
「煉くん、今だ――!」
葵が叫ぶと同時に、二人は地を蹴った。
紫電と白炎が絡み合い、一つの光となって、その亀裂へと向かって奔り出した。




