第18話 夜のお買いものは楽しいらしい
「ふう、今日は色々と疲れた」
気が付けばもうすぐ夜11時、
そういえばお風呂上がりにネットで調べたら、
肉親っていうのは3親等までを言うらしい、従姉は4親等だからギリ身内か。
(春休みとはいえ、日またぎで夜更かしは不味いよね……)
壁に貼った担当表を見る、
明日(4月2日)木曜は食事:野沢 掃除:橋本 涼一:田中
あくまでメインはって話だけど、そういえば料理って個性出そうだよね。
(今日はあくまで、みんなでって感じだったけど)
それぞれの個性を感じられるのは、
婚約者選びにとって良いかも知れない、
いや、もうすでにみんな婚約者だから結婚相手か。
「婚約者とは、だな」
だって一気に6人もだよ、
つまり5人は最終的に婚約破棄、
いや場合によっては全員もありうるのだろうけれども。
(その場合は総とっかえ、かあ)
父さんにリクエストすれば、
時間はかかるけど希望通りに集めてくれるらしい、
年下6人とか逆に相手が嫌がりそう、いや今の婚約者、実は嫌がってるとか居ないよね?
「うん、それとなくその確認もしたい」
とりあえず明日の、
僕の当番は田中凪さん、
あんな才女、眩しすぎる……9つも年上かぁ。
コンコンコンッ
(えっ、こんな時間にノック?!)
誰だろ何の用だろ。
「涼一、お待たせ」
「いや景香お姉ちゃん、約束してた?!」
「ええ昼に、忘れちゃった?」「えっ何の」
警戒しながらドアを開けると、
お出かけの服を着ているが結構ラフだ、
髪も後ろで縛ってポニーテールにしてる。
「お買い物よ」
「この時間に?!」
「コンビニだから」「あっそうか」
タワマン内のかな、
確かに興味はあるけど、
そんな約束してたっけ、しててもおかしくないな。
「じゃあ着替えるよ」
「手伝ってあげよっか」
「何を、とにかくすぐ済むから」
シャツとGパン、
あと財布を持って、
忘れちゃいけない入構証も、って無くても指紋と8桁の暗証番号で行けるんだっけ。
「じゃ、楽しいプチデートね」「えええ」
我が家からエレベーターホールまで出て、
って高速の方に乗ったってことは1階かな?
と思ったら行先は41階だった、到着するとすぐ前に緑のコンビニが。
「あっ、コンパクトだね」
「24時間営業の完全無人コンビニよ」
「品揃えは、うん、まあまあ、駅のホームにあるコンビニみたい」
キオスクじゃなくてね、
ちゃんと中へ入れるやつ。
店に入るとちゃんと例の音楽が、店員居ないのに。
「支払いはクレカかICカード、あと入構証も使えるって」
「ええっとお金って入っているのかな」「チェックしてみたら?」
「あっレジで出来るのか……5000円入ってる」「さあ何買う? 何食べる?」
から揚げとか肉まんとかは無いのか、
惣菜パンはあるな、お菓子も種類そこそこ、
あとシャツとかトランクスとか日用品も少しある。
(シャンプーやリンスはあるけど石鹸が無い!)
あと透明ゴミ袋や箱ティッシュは何気に嬉しい。
「景香姉ちゃん、『何食べる』とかいうけどイートイン無いよね」
「そうね、勝手なことすると監視カメラあるから後で怒られるらしいわ」
「さすがにここの住民しかも上層階で万引きするようなのは」「酔ってたらわからないかも」
そういえばお酒やタバコは売ってないな。
「寝る前だから、あまり甘くないのを」
「私は甘いの食べると眠くなるから逆に買いたいわ」
「大きいペットボトルの水とかもあるね」「災害の時は無料開放らしいわ」
それでもエレベーターが止まって階段使うとなると、
行き来が大変そうだ、いや予備電源や非常電源があるかも、
あと何気に台風の時にどれだけ揺れるのかっていうのが地味に怖い。
「……よしこれで、って2000円近く買っちゃった」
「紙袋は有料よ、はいエコバック」「いつのまに!」
「ずっと持ってたわよ、一緒に入れちゃいましょう」
景香お姉ちゃんは2000円以上買ってた、
こうしてエレベーターで我が家へ戻り、
互いの部屋の前へ……さて、どうしようか。
「んっと、ありがとう荷物運びさせちゃったね、僕の分は貰うよ」
「私の部屋で一緒に食べない? もっと色々とお話したいから、ねえ」
「さすがにそれだと0時超えちゃう」「私のこと、嫌い?」「というより多分、押し倒されたら逆らえない」
農園でずっとお手伝いしてたお姉ちゃんと、
サッカーは見るだけの運動は体育しかしてない僕じゃ、
何かあってもおそらく抵抗できないと思う、本気で上に乗っかられたら。
「じゃあ涼一の部屋で」
「……何もしない? 絶対に」
「涼一の部屋ではしないわ、そういうルールだから」「ルール???」
なんだかよくわからないけど、
それは信じて良い気がして僕の部屋へ入れた、
そして軽くお喋りしながら混ざった買い物を仕分ける。
「涼一、部活入るの?」
「帰宅部でいいかな勉強もあるし」
「そ、じゃあ私と一緒だね」「でもバイトが」「電話番だから」
子機とかあるのかな、
僕と一緒に勉強しながら電話番とか。
(同学年のお姉ちゃん、かあ)
やっぱり今回の婚約者では、
一番近くて……そして、一番厚い壁がある。
「景香お姉ちゃん、その、一応、これからよろしくね」
「うん涼一、今夜はこの部屋に泊まって良い?」「それは駄目!」
という引っ越し初日でした。




