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18話

ーーーーーーーーーーーーーーーーー




師匠と、その恩人にして技の師匠だとされる人を部屋へ見送り暫く。

若干の眠気に襲われた私を叩き起こしたのは、まさにその部屋からの衝撃だった。






「ど、どうなってるんだよ」





体が浮くようなそれに慌てて部屋に入ると、何故かあの男を押し倒している師匠の姿。

床は割れてあいつは少し地面にめり込んでいる。




「ふふふ...なにそれ。ねぇなんなのそれ。どうするつもりなの?」




「いや、だからこれ.....て貰わんと...」




「壊したら....じゃうんでしょ?」




「そやけど...たな...」




「じゃあ....としてるんだケイくん自分で....うとしてるんだ」




「いやその....あっメイちゃん」




集まる魔力の波動で言葉が聞こえ辛い。

明らかに助けを求める目線をよこすケイに、取り敢えず場を収めるため近寄って言葉を投げかける。




「し、師匠...ちょっと話を....」




「話し?話しって何?何を話すの?」





強く、圧のある返しだ。

私達弟子にここまで敵意のある返しをしたのは初めてで少したじろぐ。



あの男もなんとかもがいているようだが、風を纏った師匠に空気の圧力を被せられ身動きが取れないらしい。




「う、埋められる...!どうせならもっと日当たりが良いところに....っ!!」




冗談を言う余裕があるのが信じられないほどの魔力だ。奴の体は今も地面に沈み続けている。

私がなんとかしなければ、本当にまた師匠がこいつを殺しかねない。





「あの、とりあえず事情を!これからどうするとか色々冷静に....」



「冷静だよ。ケイくんはここで私と暮らすの」





もはや私の話を最後まで聞く気も無く即答される。

頭を抱えたい気分になった。

そんなもの勝手にしてくれ。だが何故一緒に暮らしたい男を地面に植えなきゃならないんだ。




「それならそれでいいですけど!別にこいつ埋めなくても良いでしょう!」




「だってケイくん死んじゃうんだよ?ケイくんは昔のままなのに。優しいケイくんのままなのに!」




「はぁ!?」





今度は絶賛埋まりつつある穴男に視線が向く。





「どういうことだ!」




「俺の胸のこれ魔王の角って言うたやん?」





「それは聞いた!師匠はなんでこうなってる!?なんでお前が死ぬ話になる!」




「俺絶賛今魔界の魔力と繋がってるから次代の魔王なわけ!これ壊して貰わんと人として死ねないから壊してくれる人探してんの!」




「馬鹿野郎!!」




「あいたっ!?」




散らばっていた木片を手に取って投げつける。

あまりにも軽率な行動に思わずそうしてしまった。





「お前に手ぇ出した師匠がどうなったか見てなかったのかよ!?なんでそんなこと師匠に言った!!?」




「だって言えそうな雰囲気やってぇ....」




「馬鹿!本当に馬鹿!!っあぁ!なんて例えたら良いかわかんねぇくらい馬鹿だお前...!!」




私が頭を抱える暇もなく空気が震える。

肌を撫でるのは魔力の波動。見えない水の底に沈んだように呼吸が重くなり、師匠の感情に引きずられるように家が軋む。





(ああ不味い....)





「そんな事させない!!ケイくんは言ったよ。大切なものは自分で守らなきゃって!だから私がケイくんを守る。私がケイくんを死なせない!」




吹き荒れる突風に家中の窓が割れる。

あまりに強い圧力をかけたせいで徐々に空気が師匠のコントロールを外れているのだ。





「ケイくん大好き!愛してる!私が絶対ケイくんを守って見せるからねぇ!!」





ほぼ絶叫のような言葉の羅列。

それに呼応するように周囲の風は強くなる。




(これ以上は家が保たない...覚悟決めろ!私!!)





「師匠!!」




師匠に飛びついて空圧の魔力操作に干渉する。

当然圧力の層の中に入ったことにより私も影響を受ける。




「おち...ついて.....ッ!」




(呼吸が...!ヤバい...術式に干渉どころか意識が...保たな.....)




被せられた重みに耐えきれず血流が足に集中する。

肺に新しい酸素を取り入れることすらできず、覚悟とは裏腹にメイの眼前は一瞬で黒いモヤに覆われた。




「メイ...?ぅ...っ!?」




バチン!と、何かが弾けた音。

そして、体が軽くなる感覚を最後に、メイは意識を落とした。





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