882 妃候補 下
清酒の送り先と手紙をしたためていると、妃候補の資料が届けられた。
「最終選別が八人ってことかしら?」
もっといたような気がしないではないけど、わたしに会わせたいのはこの八人ってことなのでしょう。
「好きな人と結婚したらいいのにね」
そこに愛はない。都合と利益しかない結婚。仕方がないのはわかるけど、付き合わされる妃候補者はいい迷惑でしょうよ。いや、そう思わないよう育てられているか。
「妃ってそんなに大事な地位なのかしら?」
いや、大事なのはわかるわよ。でも、競争させてまで選ぶほどか? 育てるなら男子、王子のほうじゃないの? てか、王子の話、まったく聞かないわね? 現国王陛下の子供が何人いるかも知らないわ。歓迎式典にも歓迎会にも姿を現さなかったわよね? 普通、出すものでしょうに。
「ラグラナ。王子王女を見たことある?」
「ありません。わたしの身分ではお姿を見ることもなりませんから」
まあ、確かにそうだけど、なんで公式の場に出てこないのかしら? 王子、お兄様と同じ年齢で、学園に通って……はいないか、もう。なのに、なぜ出て来ないのかしら? 逆に出て来ないことに意味があると?
「まあ、いいわ。下手に関わると碌なことがないしね」
資料をアイテムボックスワールドに入れて、写真つきの資料へと変えた。見難いのよ。
てか、大した内容でもない資料よね。一枚に収められる情報とかナメてんのかしら? 似顔絵くらいつけて欲しいものだわ。
見やすいように変えた資料をアイテムボックスワールドから出した。
「その資料、見つかったら求められますよ」
「じゃあ、侍女長様に渡しておいて。次からこのように作ってくださいと付け足してちょうだい」
またよくわからない資料を渡されても迷惑だわ。長いこと生きていても効率化されたり改善されたりしないってことがわかったわ。変革って大切だわ。
「よろしいのですか?」
「構わないわ。王宮は外から刺激を与えてやらないと変わらないでしょうからね」
いや、コルディー自体が刺激を与えてやらないと変わらない国だわ。平和は停滞なのかしらね?
「ルーセル様は?」
「お部屋で手紙を書いております」
「面会をお願い。妃候補者の資料を見ていただきたいから」
あちらは一人を覚えればいいんでしょうけど、ルーセル様は八人を覚えなければならない。時間は作ってあげないとルーセル様が不利だわ。
「畏まりました」
ラグラナが部屋を出て行ったら新たな資料を作る。式典や歓迎会で見た妃候補者の姿を写真にして一緒に添えていった。




