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令嬢ではあるけれど、悪役でもなくヒロインでもない、モブなTSお嬢様のスローライフストーリー(建前)  作者: タカハシあん
第16章

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878 カスまっしぐら 下

「商業連合会の者はいるかしら?」


「はい。部屋を与えたので決定できる者は常に一人はおります」


「呼んでちょうだい」


 すぐにやって来たのはサイナバ商会のルストルだった。


 ラデカルと同じ規模の商会で、主に建築を行う商会だったはず。ラデカルの陰にいたからそんなにしゃべったことはいのよね。


「いきなりごめんなさいね。倉庫をいくつか借りて欲しいの」


「畏まりました。すぐに手配します。数や場所、他にご要望はおありでしょうか?」


 決定権を持っているだけに賢いようだわ。


「そうね。気温に左右されなくて石で築かれた倉庫か地下倉庫がいいわね。樽を置くから運び入れがしやすいのがいいわね。数は二から三、可能なら五つ。王城に近いところがいいかしら? なければ貴族街の近くでも構わないわ」


 メモをするルストル。そう言えば、メモする商人が増えたわよね。わたしが原因かしら?


「お急ぎでしょうか?」


「そう急ぎではないわ。そうね。一月以内ならありがたいわね。でも、どうしてもってわけではないからそれ以上かかっても問題ないわ」


 一月以内ならわたしがいるし、それ以上かかるなら館から運び出せばいい。人気にならなければ、だけどね。


 お妃様が好んだと広まれば、我も我もと続くかもしれない。そうなったときを見越して倉庫に移しておきたいのよね。


「わかりました。そのように進めます」


「ありがとう。ちなみになのだけれど、サイナバ商会ってラルフ様とお仕事したことがあるかしら?」


「いえ、ありません。わたしどもは民相手の商売ですので」


「職人は結構抱えたりするの?」


「組合員としているのは二百人くらいでしょうか? 王都では中の下、と言ったところです」


「貴族が使いそうな台車を作れるかしら? 百ほど欲しいのよ。これは急ぎね」


 デザインしたものをルストルに渡した。


「お願いできるかしら? 王城で使うかもしれないのよ」


 ミシエリル様が欲しそうに見ていた。きっと求められるでしょう。


「畏まりました。他の組合にも声をかけてみます」


「ありがとう。サイナバ商会の名を出してもいいかしら? もし訊かれたら答えたいから」


「はい、問題ありません。是非ともサイナバ商会をよろしくお願い致します」


 それはありがたい。仕事をサイナバ商会に回せるわ。


「また来るわ。そのときに進捗状況を聞かせてちょうだい。急ぎのときはルージュンに声をかけなさい。なるべく早く来るから」


 チョコレートをコーティングしたバームクーヘンを空中に放り投げると、カスがまっしぐらに飛びついた。


 この方、プライドとかないのかしら? あ、ないですね。それは失礼しました。

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