876 魂の日本人 下
ミシエリル様も飲めるほうのようで、グイグイいっている。昼食の勢いではありませんよ。
お妃様は……言わずもがな。少しは抑えてくださいませ。そんなにストレスが溜まっておいでで?
仕方がないのでアルコール分解の付与を施しておきましょう。
「こんなに楽しい昼食は初めてだわ」
だからって毎回ここに来ないでくださいませ。こっちは楽しくないので。わたしは気が重くて仕方がないですよ。
お二方になにかあればわたしの責任。お妃様と公爵夫人の命はわたしなんかより重い。お腹を下しただけであらぬ目がわたしに向けられる。護衛侍女の目もわたしに向けられている。無許可で付与魔法を施したらどうなることやら。胃が痛くて仕方がないわ……。
だからと言って食べないわけにはいかない。先にわたしが食べないといけないし、すべてを食べてなければならない。せっかく美味しいのに気持ちまで到達してくれないわよ。
お二方はそんなこと知らんがな、って感じで料理やお酒を楽しんでいた。
「とても美味しかったわ。いつもこうならいいのだけれどね」
すっかり油断している。ここなら安全だとわかっている行動なんでしょうね。ここのことが漏れるとしたらわたし側からになるでしょうからね。
「それはようございました。お酒の具合は如何ですか? 支障がある酔いなら浄化致します」
「あなたの魔法はそんなこともできるのね」
「試行錯誤の産物ですね。自分の力を知らなければ危険ですから」
「あなたはなんだったらできないのかしらね?」
「たくさんありますわ。特に、わたしには子を産むことはできませんね。病気ではなく、わたしの立場がそれを許しません。もちろん、己の価値は知っております。なので、婿を取り、妾が産んだ子をわたしの後継とします」
「……それはまた、斜め上の発想をするのね……」
「カルディム家には後継がおります。わたしが産む必要はありません。ただ、わたしが死んだあとも続かなければ困る者たちがおります。そのためにも後継となる者は必要です。それはわたしの血を継ぐ者でなくても構いません。思想を継いでくれるのなら誰でも構いません」
できないのならできないで構わない。未来など不確定要素ばかりなのだから。そのときを生きる者に任せるわ。
「……あなたの考えは本当に斜め上を行っているのね……」
自覚はある。でも、変えるつもりはない。それがわたしなりの責任と義務の果たし方だからね。
「それでもコルディーへの忠誠や貴族としての義務を疎かにするつもりはありません。わたしはこの国を愛していますから」
そして、そこに暮らすおっぱいを守護している。世界のおっぱいはわたしのものよ! イェーイ!




