746 マスコットキャラとは? 下
お腹が膨れたら翡翠とキャラメルはあっさりと去って行った。
「現金なんだから」
まったく。ほとんど食べて行ったわね。また肉まんとあんまんを作らないとならないじゃない。
「ここに美味いものがあるそうだな」
「ないので帰ってください」
マスコットキャラとはほど遠い酒カスまでやって来ちゃったよ。回れ右して帰れっ!
「下手なウソをつくな。あるんだろう? 出さんか」
「うちには盗賊しかいないんですか?」
「家主が盗賊みたいなもんだからな。そこに住むヤツも似るんだろう」
高度な嫌味を言ってくれるじゃない。ロリババアめ。
「いだっ!」
見えない速さでデコピンされてしまった。
「悪口か?」
なんでそーゆーことには察しがいいのかしら? ちゃんと万全な対策しているのに……。
「何人たりとも人の心に侵入することは許されません」
「そなたはズカズカ侵入して来るがな」
なかなかいいカウンターを噛ますこと。二の句が継げないじゃない……。
「肉まんです。お納めください」
勝てない戦いはしない。さっさと肉まんを上納させていただきます。
「うむ。苦しゅうない」
ハイハイ。さっさと食べてさっさと帰ってください。わたしはやるべきことがたくさんあるんですから。
「お、美味いではないか。これはシュワシュワの麦酒が合いそうだ」
それはわかる。わたしも早くお酒が飲める年齢になりたいものだわ。コルディーってお酒は十八歳から、なのよね。慣れるために飲んでいる人はいるけどさ。
「早く大きくなりたいものです」
「そなたはまだ諦めてなかったのか?」
「諦めるってなんですか? わたしはまだ成長期が来てないだけですよ」
小さいのも生活するのに大変なのよ。百五十センチくらいにはなりたいわ。お風呂に入ったとき、目線がおっぱいに行くのは捨てがたいけどね。
「諦めの悪いヤツだ。生き血を啜るようにはなるなよ」
「生き血を啜らなくともよい食事によい運動。心労のない生活を送れば心も体も成長するものです」
「まあ、夢を見るのは自由だ。夢の中で完結しておれよ」
「夢は叶えるためにあるんです」
「そうかい。酒のツマミに叶うことを願っているよ」
「帰れ!」
「ハイハイ。またもらいに来るよ」
わたしのキックを華麗にかわして部屋を出て行った。
ったく。マスコットキャラにもならん酒カスめ。わたしの周りには可愛いはないのか? まあ、おっぱいがあればわたしは満足だけど。
「ハァー。さっさと仕事を片付けないと」
やってもやっても減らない仕事。実務を見てくれる人が欲しいわ。
着替えたら寝室を出た。
「……時間と人手、潤沢な魔力が欲しいわ……」




