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令嬢ではあるけれど、悪役でもなくヒロインでもない、モブなTSお嬢様のスローライフストーリー(建前)  作者: タカハシあん
第14章

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736 その先へ

 やはり前世の知識と経験があるってアドバンテージあるものなのね。


 ルゼット様はその先のことに考えが至らなかった。その先が大事だというのにね。


「悪巧みか?」


 寝室で物思いに耽っていたらコノメノウ様が入って来た。なんです?


「思考に思考を重ねた結果、ここに酒があると判断した」


 うん。もっと崇高な思考に頭を使いなさいよ。頭、酒でいっぱいか。


 ベッドの下にある引き出しを引いた。ちょっと!


「新しく寝台を新調したときに気づくべきだった。ククノヒメ──ミコノトに拐われたとき、寝台にいろいろ隠しておったことに」


 名探偵さん。答え合わせは他でやってくださいません? わたし、これから就寝なんですけど。


「ほら、あった。時間的にハクカ梅か?」


 ベッドに隠していた白夏梅で作ったお酒の小樽を取り出した。


「まだ寝かせているところなんですけど」


「そなたの力があれば必要あるまい。わたしに飲まれまいと隠していたんだろうが」


 そうだよ。せっかく隠していたのに。どんな執念だよ。


「どうやって開けるんだ?」


「それは止めてください。飲むならこちらを飲んでください」


 バレてしまったのなら仕方がない。諦めて棚にある蓋のついた壺をコノメノウ様に渡した。


「リンゴのブランデーにハクカ梅を漬けたものです」


「ほぉう。そんな方法もあるのか」


「結果に辿り着くのは一つではないということです」


「そなたが求める答えも一つではあるまい」


「ある意味、一つでありたくさんでもあります。未来は決まっていせんからね」


「たまにそなたがどこを見ているかわからぬときがありよ」


「あら、わかってくれるときかある口振りですね?」


「悪巧みしているときはよくわかるよ。無邪気に笑っているからな。わからないのは遠くを見ているときだ。そなたしか見えないものを見ているからな」


 ただ、遠くにあるおっぱいを見ているだけですけどね。あれは絶対にいいおっぱいだ、ってね。


 ……まあ、そんなこと考えているなんて同じおっぱい星人だけでしょうね……。


「ここは、居心地がよいですか?」


 あと、それはゴクゴク飲むものではありませんよ。ちゃんと味わって飲んでくださいな。


「とてもいいな。うるさい巫女もおらんし、どこにも自由に行ける。なにより、美味い酒が尽きることがない。そなたは軽々しく死ぬなよ。まだまだ美味い酒を作ってもらわんといかんのだからな」


「わたしはお酒を作るだけの存在ですか」


「わたしにとって酒は生きる目的だ。楽しみだ。酒のない世など生きている価値もない。そなたをそれと同等に扱っているまでだ」


 お酒と同等ってのもなんだがな~って気持ちになるわ……ん?


「……わたし、コノメノウ様に気に入られてます……?」


 同等にって、そういうこと?


「それ以上でもなければそれ以下でもない、ということだ」


「コノメノウ様、ツンデレ──痛っ!」


 光の速さでデコピンされてしまった。


「ツンデレがなんなのか知らんが、なんか物凄く不快だ。二度と口にするな」


 プンプン怒って寝室を出て行ってしまった。


 ………………。


 …………。


 ……。


 まさかのツンデレキャラだったわ。

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