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令嬢ではあるけれど、悪役でもなくヒロインでもない、モブなTSお嬢様のスローライフストーリー(建前)  作者: タカハシあん
第14章

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722 ソロバン 上

「そなたは無駄に仕事ができるよな」


「それは悪口ですか? それとも悪口ですか?」


 あと、部屋を探らないでください。そこにお酒はありませんよ。


「強いて言うなら嫌みだな」


 嫌みでしたか。なら、気にすることもないですね。


「急になんです? 暇ならタルル様と遊んでてください」


「タルルとなにをして遊べと言うんだ? 菓子ばかり食っているヤツと」


 うん。きっとタルル様も貴女のことをお酒ばかり飲んでいるヤツだと思っていますよ。


「特に意味もないおしゃべりをするのも楽しいものですよ」


「わたしにはその楽しさがわからんよ」


「長く生きた弊害ですか? 長生きはしたくないものです」


 楽しさを忘れてまで生きていたいとは思わないわ。


「普通は無駄に長生きしたいと願うものだがな」


「それは命の価値を知らない者のセリフですね。命は有限だから美しいものです」


 わたしもさすがにシワシワのおっぱいを愛でることはできないわ。垂れているのが限界かしらね。


「そなたは達観しておるよな。逆になにが楽しくて生きているのか謎でしかないよ」


 一におっぱい。二におっぱい。三四どころか百までおっぱい。おっぱいしか頭に入ってないと断言してもいいくらいおっぱいが好きで生きているわ。


 奇跡であり芸術であるおっぱい。あぁ、おっぱい。おっぱいおっぱいおっぱいぱい。理性がなければおっぱいに飛び込んでいるでしょうよ。


「わたしはまだ未熟であり達観なんてしていませんよ。毎日、自分の不甲斐なさに嘆くばかりです」


 おっぱいに囲まれる暮らしを夢見、未だに叶えられていないでいる。自分の能力不足に悔し涙が止まらないわ。


 帳簿に計算間違いを発見。呼び鈴を鳴らしモリエを呼んだ。


「ご用でしょうか?」


「計算間違いよ。最初から計算し直して。あと、館の名簿を持って来て」


「申し訳ありません。担当の者にキツく注意しておきます」


「別に注意はいいわ。やり直しさせればね。そう言えば、計算ってどうしているの?」


 この世界、ソロバンみたいな計算道具ないわよね。


「紙に書き写して足して行ってます」


 マジか。そりゃ手間がかかるし、間違えるわけだわ。


「モリエも書き写して計算しているの?」


「大きい数の場合は。数が少なければ暗算です」


「あなた、かなり優秀だったのね」


「そなたには言われたくないだろうよ。書き写しもせず計算して間違いを見つけるのだからな」


 それは頭の中にソロバンがあるから。前世では小学二年からソロバン塾に通わされたものだ。まさかこの世界に転生して役立つとは思わなかったけど。


「教育の大切さがよくわかったわ」


 そして、学問が独占されている理由もね……。

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