720 平和的に 上
「ハァー。もう好きにしろ」
との許可をいただきました~。ありがとうございま~す。
「かなり先になるので叔父様たちのほうでも準備しておいてください」
「心の準備か?」
「各方面への根回しですよ」
なんで心の準備しなくちゃなんねーんだよ! 別に壮大なことが起こるわけでもないでしょうが。
「カルディム家を継ぐのはお兄様。領主代理を継ぐのはナジェス。わたしは、一族としてお兄様やナジェスを支えていきます」
ロッカルが望むなら伯爵にでも侯爵にでもしてあげるけど、カルディム家と分ける必要がある。マルビオ家が後ろについてくれるならまだしも、マルビオ家としてもカルディム家から離れては困るでしょう。わたしはカルディム家から離れるつもりはないんだからね。
「カルディム家はもっと上を目指すべきです。お父様では王国の役職に着くほどの才はありません」
人としては尊敬できても貴族としては落第だ。役職に着くなんて夢のまた夢でしょうよ。
「お兄様には外交官となって欲しいですね」
「それは決定なのか?」
「ほぼ決定ですね。まあ、その前に帝国に留学してもらいますけど」
「……その道筋はもう作られているわけか……」
「早く帝国が落ち着けばいいのですけれどね。まったく、守護聖獣に匹敵する存在を下野させるのは面倒です」
もうちょっとだと思うんだけどな~。しぶとくて嫌になるわ。
「……お前、自分がとんでもないことを言っているのかわかっているのか……?」
「わかっていますよ。さすがにコノメノウ様を下野させるのは難しいですけど、欲に走った獣など敵ではありませんよ。下野させる方法などいくらでもあります。直接動けないのがもどかしいです」
対峙さえできれば一瞬だ。ただ、欲に走っていても獣なだけに警戒心が強いのよね。そこだけが厄介だわ。
「……そんなお前が恐ろしくて堪らないよ……」
「わたしは基本、無害ですよ。平和に暮らせるならなにも致しません。この王国が気に入ってますからね。ただ、わたしの平和を奪う者には容赦は致しません。完膚なきまでに潰してやります」
わたしからおっぱいを奪うヤツは万死に値する。いや、万死でも温い。永久に苦しめてやる。死すら与えないわ。
「王国に被害を及ぼすのだけは止めてくれよ」
「安心してください。人目につかず、誰も気付かないようにやりますので」
わたしも自分のテリトリーを壊されたくない。やるなら人目につかず、誰も気づかないうちに処理してやるわ。
「それはそれで怖いんだよ。争わぬ選択肢はないのか?」
「剣には剣を。対話には対話を。なにを選ぶかはあちら次第です」
わたしは受け誘いが得意なんで。おっと。誘い受けではないので勘違いすんなよな。




