705 大丈夫大丈夫 下
兵士たちが馬車に慣れたら出発する。
ほぼ午後からの出発なので、まずは領都の外に向かい、河原でお昼とする。
「お姉様。ここで野営するのですか?」
ウキウキワクワクなレアナが尋ねてきた。
レアナはもう少し先と思っていたのだけれど、行きたいとせがまれたので諦めて連れて来たのです。一応、レアナの着替えはアイテムボックスワールドに入れてあるからね。
「まずは練習よ。外で食べることに慣れないとね」
以前、館に泊まりに来たとき外で食事をしたことはあるけど、ルーセル様や侍女たちはそれほど経験はないはず。用意や片付けも学ばせるためのものでもあるわ。
この河原は領都の避難場所の一つとなっている。
昔、わたしが作れと進言した場所なので、水の確保と予備の薪が詰んである。
管理は領都の有志で行われているようで、薪は揃っており、パンを焼く窯もいつでも使えるようになっていた。
「お礼しなくちゃいけないわね」
薪小屋に入った人に回復上昇の付与を施しておく。今の魔力なら三十人くらいは余裕でしょう。
「レアナ。ここに名前を書いてちょうだい」
立札を出して薪小屋の横に打った。
「なんです?」
「ここを管理してくれている有志たちへの感謝の言葉よ。レアナの名前で書いておきなさい」
わたしが領都に早々来ることはない。なのでレアナの名前で感謝しておきましょう。
「わたしの名でいいのですか? お姉様、今なにかしましたよね?」
魔力を感知したのでしょう。日頃から練習しているいい証拠だわ。
「領地のことは誰がやっても同じ。良くも悪くもカルディム家の評価になるのよ。個人の手柄など関係なし。カルディム家のためになればそれでいいのよ」
それが貴族ってもの。家あってのわたしたちだ。
「……納得できません……」
「その気持ちも忘れてはいけないわ。人として大切なものだからね。でも、わたしたちは貴族。民を統治しなくてはならない身。人としての心を忘れずに民の幸せを考えなさい。そうすればカルディム家は安泰よ」
わたしは手柄など興味はない。カルディム家があればわたしの生活は保証される。わたしは貴族としての暮らしに満足しているし、貴族としての誇りもある。名より実。おっぱいが頂点にある。イエス、おっぱい!
「さあ、食事の準備をするわよ」
と言っても一から作るわけじゃない。馬車に入れてある料理を出すだけ。それでも箱入り娘たちには充分仕事となる。
テーブルとかは侍女たちに任せ、熱々に保存してあるスープやパンをいただいた。




