1077 暗黒城 下
魔力は湯水の如く湧き出て来るので、ラーレシム様の天能を増幅させて行った。
「……あ。声が……」
と、頭を抱えるラーレシム様。ボリュームを上げすぎたか?
増幅を抑えるけど、ラーレシム様は頭を抱えたまま。まさかリンクしちゃったか?
あんな高密度の魔力を流されたら堪らないと、魔力フィルター(余分な魔力を魔石に変えてます)を何十にも付与した。
しかし、なんかシャボン玉のように弾け飛ばされている。どんな物量攻撃よ! 凄い勢いで魔石が生産されているよ!
「─────」
なんかトランス状態になっちゃったよ! 魔力フィルターが追いつかないわ!
不味い不味いと魔力フィルターを付与し続けるけど、ダメだ。焼け石にみずだ。完全にリンクされたよ!
ラーレシム様の体から凄まじいまでの魔力が溢れ出している。体が変化しているじゃない……!
「タルル様! なんとかしてください!」
思わずタルル様に助けを求めてしまった。
「無茶を言うな! お前にできないものがわたしにできるか!」
ここぞってときに役に立たん守護聖獣だな!
「チェレミー様!」
光が凄まじくて騎士様方が集まって来ちゃったよ!
「大丈夫です! 落ち着いてください! わたしにお任せください!」
まず自分が落ち着けと言いたいけど、常軌を逸したことに落ち着いていられない。わたしは常軌内で生きている人間なんです!
光はどんどん激しくなり、ラーレシム様の髪がスーパーな戦闘民族っぽくなっちゃっているよ! ジャンルを超越するのは辞めてください!
付与魔法が一切効果なし。どんな存在なのよ! 神か? 神なのか!? ほんと、勘弁してくださいよ!
輝いて光が忽然と消失。頭を抱えていたラーレシム様が顔を上げた。
「……ど、どちら様でしょうか?」
シンクロしたとかじゃない。これは、降臨と言った感じのものだわ。
「状況を理解しているのね」
声はラーレシム様のもの。でも、雰囲気はかなり年齢を重ねたものだ。
「状況からしか理解しておりませんわ。貴方は、お城の地下にあった世界樹で輝いていた方ですか?」
「やはり貴女だったのね。急激に魔力が減って驚いてしまったわ」
「申し訳ございません。人の身では耐えられない魔力だったもので。火急的速やかに減らさせてもらいました」
「構わないわ。わたしもあの充満した魔力には困っていたから。あなた、本当に人なの? あれは人の身でどうこうできる魔力量ではないのに。今も消してくれるから楔が緩められたわ」
自らの魔力で自らを縛っていたってこと?
「あなたの害になってなければ幸いです」
「害どころか有益だったわ。今も身が軽くなるほど魔力を消し去ってくれて助かっています」
「害になってないのならありがたい限りです」
これから百年。魔力に困ることはないのだからね。




