1063 魔導国 下
波も収まり、お城も完全に浮上した。
次はどんな手を出して来るのかと見ていると、お城の城門が開いた。
「不死の軍団か。テンプレね」
まあ、それは予想していた。湖の底にいるのだから予想できるのは不死くらい。ドラゴンとか聖獣系ならロリっ娘辺りが反応しているはずだ。ラーレシム様に聞こえたなら精神体と見るべきでしょうよ。
骸骨騎士が骸骨馬に跨がって、怒涛のように出て来る。随分と溜め込んだこと。
「シューティングスター。蹂躙しなさい」
「心得た!」
空から滑空して来て骸骨騎士団を薙ぎ払った。これでいい感じに間引きされるでしょう。
「数千年も前だから航空戦力って発想がないのかしら?」
まったく、恨みばかり膨らませるからまっとうな戦略も立てられないのよ。数で押せば勝てるなんて原始時代で終わっていると知りなさい。
……乙女ゲームだから戦闘はおざなりなの? だとしたらそこちらとしてはありがたいけどね……。
シューティングスターの蹂躙で骸骨騎士団は数を減らして行くけど、数だけは立派。半分は減った、って感じからしらね。
「こんなものかしらね」
グリムワールを振り、湖を氷らせた。
これで妃候補者たちから集めた魔力の半分を失ったわ。
「コルディーの双翼、前進! 敵を駆逐しろ!」
うおぉおおおぉと両騎士団の野太い叫びが響き渡った。
「騎士団とはどこも同じだな」
「だからこそ王国は沈まないでいられます。力なき王国に存在する価値なし。弱き王国は利用され、搾取され、人の矜持を奪われる。故に力は絶対に必要なのです」
皆仲良く、なんてものは幼稚園時代に卒業したわ。
「力は特権を生み、腐敗を生むぞ」
「だからこそ、戒めが必要なのですよ。自分たちだけが強いと勘違いさせないために、その傲慢さを覆せるだけの王国が」
帝国もコルディーを正常でいられるための装置だけど、二大勢力は相互破壊を秘めている。そこで重要になってくるのが第三勢力。国力は遥かに落ちるけど、敵の手に落ちては困る。強く出ても配慮を忘れてはいけない。
「目の前の敵など、コルディーの敵には成り得ない。けど、コルディーを存続させる装置としてありがたい限りですわ。鈍り切ったコルディーに活を入れてくれるのですからね」
危機を見落とし、何年も放置したわけでもない。
「ただ恨みだけで、勝つ準備もせず、運用もできない。ただ、殺られるためだけに出て来た。敵は見定めろと教えてあげたいですわ」
さあ、まだ隠れている敵よ。さっさと見定めないと恨みは永遠に果たせなくなるわよ。ウフフ。




